旺盛な食肉需要増により飼料需要が拡大(ミャンマー)
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が10月11日公表した「Grain:Myanmar Feed Industry Update 2018」によると、ミャンマーの飼料需要は、畜産業の発展により2016〜18年は年率13〜15%で増加し、2018年に300万トン、2020年に400万トンとなると見通している(表1)。
2018年の飼料需要の内訳は、肉用鶏・卵用鶏が57%、養豚が20%、その他畜産(酪農、アヒル、うずらなど)が7%、養殖業が17%である。また、全体の46%が配合飼料用、20%が自家配合用、34%が単味飼料用に仕向けられている。
現地専門家によると、ミャンマーは2011年の民政移管後、経済成長により国民の所得水準は向上し食肉の消費量は増加しており、これを受け生産量も増加している(表2)。特に食肉の中では、安価な家きん肉の消費が最も多く、豚肉がこれに続いている。牛は役用としての利用が多く、牛肉は伝統的に食肉としてあまり利用されていないため生産量は少ない。家きん肉の生産量の増加を受け、養鶏用配合飼料の生産量は年々増加している。
同報告書では、飼料原料のうちトウモロコシ、砕米、米ぬか、魚粉は自給可能で、収益性の低い養鶏農家は生産量の多い米作から発生する砕米を、収益性の高い養鶏農家はトウモロコシを使用する傾向があるとしている。
ミャンマーでは民政移管後に外資参入のための法整備がされ、多くの外資企業が参入したため、自国資本の飼料会社の多くが廃業し、現在は、タイ、インドネシア、オランダ、中国、韓国系の飼料会社が活動している。これら外資系飼料会社の飼料の売上が全体の60%を占めている。
2017年度のトウモロコシ生産量225万トンの約60%は流通業者によって陸路で中国に、残りの40%は国内に供給されている。そのため、飼料会社はその不足分を米国などから輸入しようと試みているが、流通業者などによる政府に対する圧力からトウモロコシ輸入許可書が発行されないという。政府は飼料会社に対して国内のトウモロコシ農家と契約を結んで買い入れをするよう提案しているが、中国の購買動向に大きく左右されるため、安定的に数量を確保するのが難しい状況にある。
一方で、大豆油かす、飼料用小麦、DDGSなどは米国、ブラジル、ウクライナ、インドから輸入されているとしている。
ミャンマーの飼料産業は、経済発展による食肉需要の高まりに加え、外資の積極的な投資により着実に成長しており、今後の進展が期待されるところである。
【青沼悠平 平成30年11月2日発】
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