10月28日に行われたブラジル大統領選挙の決選投票にて、大差をつけて勝利したジャイール・ボルソナーロ氏は、11月7日、次期農牧食糧供給大臣として、民主党(DEM)のテレーザ・クリスティーナ氏を任命すると発表した。
クリスティーナ氏は、ブラジル屈指の農業州であるマットグロッソドスル州出身の農学博士で、農牧畜業者らを支持基盤に持つ議員団体、農牧畜系議員前線(FPA)の代表を務めていた。
クリスティーナ氏は、現地新聞社のインタビューに対して、今年5月に発生したストライキ以後、特に穀物業界において問題となっているトラックの運賃問題の解決に取り組むと発言するなど、意欲を見せている。
これに対し、地元であるマットグロッソドスル州やマットグロッソ州などを中心に歓迎の声が上がっており、マットグロッソ州大豆トウモロコシ生産者協会(Aprosoja)は、「ブラジルの農業部門の困難を解決する上で、彼女が素晴らしい仕事をすると確信している」とし、ブラジル植物油工業協会(Aboive)も、「生産者を保護し、セクターに利益をもたらすことができる」と歓迎した。
畜産業界からの反応も軒並み良好で、ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)のリカルド・サンチンテクニカルディレクターも「彼女はFPAで強いリーダーシップを発揮しており、技術的な知識も有している。動物性タンパク質業界にも精通しており、我々の業界が抱えている課題も理解していることから、非常に信頼している」と語った。
【テレーザ・クリスティーナ次期農牧食糧供給大臣 プロフィール】
テレーザ・クリスティーナ氏は1954年生まれの64歳。マットグロッソドスル州内の大学を卒業、サンパウロで複数の食品企業に勤務した後、マットグロッソドスル州に戻り、2007〜2014年にマットグロッソドスル州議会議員を務め、2015年以降は同州選出の下院議員として活動してきた。
同氏は、農薬の使用に関した規則を柔軟化させる(=環境へのインパクトが大きくなると懸念されている)法律であるLei 6255の制定に尽力した中心人物として知られており、一部マスコミからは「毒の女王」とも呼ばれている。
写真 ボルソナーロ次期大統領と握手を交わすクリスティーナ氏(クリスティーナ氏Twitterより)