脱脂粉乳公的在庫、当初在庫量の半分まで売り渡しが進む(EU)
欧州委員会は11月23日、28回目となる脱脂粉乳公的在庫の売渡入札の結果、2万6082トンが落札されたと公表した。売渡最低価格が2018年に入ってからの最高価格となるなど応札は一時期の低調から盛り返し、順調に推移している。
欧州委員会によると、落札したのは、数量の多い順にドイツ、フランス、アイルランド、オランダ、ベルギー、ポーランドの企業であった。応札数量は前回から35.4%増加し、過去3番目の量となった。
売渡最低価格は、100キログラム当たり131.30ユーロ(1万6675円)と、前回から5.0%高となった。同価格は、直近のEU平均卸売価格(11月12日の週平均:158.52ユーロ(2万132円))より17.2%、公的買入価格(169.80ユーロ(2万1565円))より22.7%下回っているものの、今年に入っての最高価格となるなど、回復しつつある市場価格の影響を受けて上昇傾向で推移している。応札最低価格も同様であり、120ユーロ台まで上昇したのはおよそ1年ぶりである。
欧州委員会は11月9日、第27回の売渡入札により、当初抱えていた脱脂粉乳公的在庫量の半分(38万トンのうち19万トン)が、乳製品部門の市場混乱を招くことなく市場に売渡されたとしてプレスリリースを行った。
欧州委員会のフィル・ホーガン農業・農村開発担当欧州委員は、2016年末から実施している売渡入札が、欧州委員会の慎重な市場へのアプローチにより順調に進捗していると評価したうえで、市場の需給バランスへの配慮が最優先であるとの認識を改めて示した。また、公的在庫は、2015年から2017年の間、市場を安定化させる重要な役割を担ったとした。
現地報道などによると、2019年の4月か5月ころには公的在庫が解消されるかもしれないという前向きな見方も出ている。業界関係者の関心が一層高まる次回の売渡入札は、12月11日の予定である。12月の入札はその1回のみで、来年1月は、再び月2回のペースで進められる予定となっている。
【調査情報部 平成30年11月30日発】
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