15年ぶりに商業用養鶏場でのニューカッスル病の発生を確認(米国)
2018年12月15日、米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)は、カリフォルニア州リバーサイド郡の商業用養鶏場でニューカッスル病が確認されたことを発表した。商業用養鶏場での発生は2003年以来、15年ぶりとなる。米国から国際獣疫事務局(OIE)に通報された内容によれば、発生が確認された養鶏場では6週齢の採卵鶏を飼養しており、11万羽が殺処分の対象となった。発生鶏群では明確な臨床症状は確認されておらず、死亡率の上昇のみが見られたと報告されている。
裏庭養鶏などでは、2018年5月にロサンゼルス郡での発生が確認されて以降、12月7日までにサンバーナーディーノ郡、リバーサイド郡、ロサンゼルス郡、ベンチュラ郡で合計190例が発生した(表、図)。今回の商業用養鶏場での発生は、継続的に発生していた裏庭養鶏から拡大したと考えられている。
USDAは、「ニューカッスル病は、食品安全上の懸念はなく、人が家きん肉製品を食べることによりニューカッスル病に感染した事例はない。しかし、感染した鳥に直接触れる人々については、非常にまれな事例として感染する可能性がある」とコメントしている。
USDAは、商業用養鶏場での発生を受けて、カリフォルニア州の家畜衛生当局と協力して、感染鶏群の殺処分、農場消毒、郡内の移動制限など、疾病のまん延防止対策を講じており、発生農場周辺を中心にサーベイランスとバイオセキュリティの強化を行っている。USDAおよびカリフォルニア州の家畜衛生当局は、家きん飼養者に対して、ニューカッスル病から家きんを守るために、適切な衛生管理を行うことを求めている。具体的には、
・家きんを飼養する区域への入退場時に手指および靴を洗浄する
・車両や器具を養鶏場から搬出する前に清掃・消毒を行う
・家きん群に新たな家きんを導入する前に、30日間隔離して健康状態を確認する
などの項目が挙げられている。
また、すべての鳥類飼養者に対して、鳥類が異常を呈していたらすぐに、州または連邦の家畜衛生当局に通報するよう呼び掛けている。
ニューカッスル病は、鳥類の呼吸器系、神経系および消化器系に影響を及ぼす致命的なウイルス性疾患である。臨床症状としては、突然死や家きん群の死亡率の上昇、発咳、鼻汁、緑色の水溶性下痢、沈うつ、神経症状が挙げられるが、この疾病は非常に病原性が強いため、多くの鳥類や家きんは臨床的症状を示さないまま死に至る。ワクチン接種を受けていない家きん群の死亡率は、ほぼ100%に至り、ワクチン接種を受けた家きんであっても感染や死亡することがある。
【調査情報部 平成30年12月21日発】
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