旺盛な豚肉需要を背景に2019年の豚のと畜頭数は引き続き好調(韓国)
韓国の韓豚協会はこのほど、2019年のと畜頭数の見通しを発表した。これによると、2019年のと畜頭数は、上半期(1〜6月)が887万頭、下半期(7〜12月)が876万頭となり、通期で1763万頭と過去最大になると見込んでいる。2018年1〜11月の豚のと畜頭数が対前年同期比3.7%増の1584万頭となり、通年のと畜頭数が過去最大になると予測される中(図)、旺盛な国内の豚肉需要を背景に来年も韓国の豚肉生産は好調が継続しそうだ(表)。
なお、韓国では養豚のインテグレーション化が進んでおり、韓国農村経済研究院によると、豚肉生産量全体の3割弱程度が(1)協同組合(2)食肉加工販売大手のハリム社(3)飼料会社から発展したEASY BIO社の3系統のインテグレーターにて生産されている。残りは個人経営となる。
韓国の豚肉の1人当たり年間消費量は年々増加している(表)。この要因としては、キャンプブームの到来によるバーベキューなどでの豚肉の需要増、鳥インフルエンザの発生や請託禁止法(キム・ヨンラン法)の施行によって、鶏肉や牛肉、特に韓牛肉などの贈答品需要が減少したことなどが挙げられる。現地専門家によると、韓国における豚肉の消費形態は、外食が6割、家計消費が2割、ハム・ソーセージなどの加工品が2割としている。焼肉、キムチ鍋、ポッサム(茹でてスライスした豚肉とつけ合わせ野菜を巻いて食べる料理)で消費されることが多く、バラ肉が好んで食べられている。これまで不需要部位であったロース肉は、最近では日本式のトンカツで消費されているという。
韓国では、地産地消に通ずる考えの「身土不二」という精神が国民に定着していることや、韓豚チェックオフ管理委員会が国産豚肉のPR活動を行ったことにより、輸入品は加工原料や外食産業に、国産は量販店などといったようにすみ分けがなされている。
【青沼悠平 平成30年12月27日発】
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