アイルランド農業食品開発局(Teagasc)は12月4日、農業経済見通し(Outlook 2019 Economic Prospects for Agriculture)を公表した。そのうち酪農部門では、2018年の生乳生産量の見通しが示された。また、英国農業園芸開発公社(AHDB)によると、アイルランドが掲げていた2020年の目標値を2年前倒しで達成する見込みであることが分かった。
同局は、今回の見通しの中で、2018年の生乳生産量を前年比3%増と見込んだ。アイルランド政府は2010年に、2007年から2009年の生乳生産量の平均値を基準値(50億リットル)として、2020年にその50%増となる75億リットルとする増産目標(Food Harvest 2020)を掲げていた。
同国は、2015年3月末のEU生乳クオータ(生産割当)制度廃止をきっかけとして国を挙げて増産を推し進め、乳製品の輸出拡大のためのプロモーションを積極的に行うなどしている。
同見通しによると、2017年の生乳出荷量は、乳製品価格の回復があり、酪農家一戸当たりの農業所得も過去最高となるなど増産への後押しもあり、前年比9%増となった。
2018年は、春先の低温と夏の干ばつなどの天候不順の影響や乳製品価格の緩やかな低下などにより酪農経営としては厳しい年となっているが、生乳生産量は前年比で3%増の増産を維持する見通しであり、AHDBによると、これにより2020年目標値を2年前倒しで達成する見込みである。
なお、2019年の生乳生産量は、天候不順などの影響も緩和されることから前年比6%増と、引き続き増産が見込まれている。
一方、AHDBは、このような急速な成長に伴い、硝酸塩や温室効果ガス発生の環境に関する目標が設定されるのではないかとの懸念が生じているとしている。