脱脂粉乳公的在庫、過去最高の落札数量を記録。在庫解消の見通し(EU)
欧州委員会は1月11日、30回目(1月8日実施)となる脱脂粉乳公的在庫の売渡入札の結果、一連の売渡入札では過去最高となる8万424トンが落札されたと公表した。売渡最低価格も過去3番目となる高水準となり、2018年以降、回復傾向にある市場の影響などから順調に売渡入札が進展した結果、当初38万トンあった在庫は残りわずか約2万2000トンまで減少し、一連の売渡入札にほぼ終わりが見えた。
欧州委員会によると、落札したのは、数量の多い順にフランス、リトアニア、ラトビア、アイルランド、英国、フィンランド、スペインであった。現地報道によると、市場が回復傾向にある中、取り扱い業者にとって同在庫が安価な供給物として捉えられており、需要が高まっているとみられている。
今回の入札では、応札数量の3分の2が落札され、売渡最低価格は前回から7.1%高の100キログラム当たり155.40ユーロ(2万47円)となった。同価格は、直近のEU平均卸売価格(12月31日の週平均:172.83ユーロ(2万2295円))より10.1%、公的買入価格(169.80ユーロ(2万1904円))より8.5%下回っているものの、上昇傾向の市場価格の影響を受けて過去3番目の高水準となった。EUの脱脂粉乳平均卸売価格は、12月24日の週に68週ぶり(1年4カ月ぶり)に公的買入価格を上回るなど、低水準ながらも順調に上昇傾向にある。
欧州委員会のフィル・ホーガン農業・農村開発担当欧州委員は1月11日、同結果とともにホームページに、「今回の入札結果は、2015年から2016年にかけての酪農危機後に欧州委員会が講じた措置が、効果的に成果を上げた証拠である」と自ら欧州委員会の施策を評するとともに、「市場の需給バランス均衡を最優先として実施した結果、EUの酪農家や市場に悪影響を与えることなく、われわれの保管倉庫は空になるであろう」とコメントを発表した。
これまで長期間にわたりEU酪農関係者の最大の関心事項であり、懸念事項であった脱脂粉乳の公的在庫は、いよいよ解消される見通しとなった。次回の売渡入札は1月22日の予定である。
【調査情報部 平成31年1月18日発】
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