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2018年の農林畜産物・食品の輸出、野菜類が好調(韓国)

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最終更新日:2019年1月23日

 江蘇省は2019年1月、自省の野菜産業の新たな競争優位性を構築するため、2020年までに野菜作付面積に占める緑色認証制度に基づく野菜(以下「緑色野菜」という)の割合を現在の25%から60%まで向上させることを公表した。

 緑色認証制度は、農家所得の向上や食品安全を高め、持続可能な農業の発展に寄与することなどを目的に1993年に施行された。中国農業農村部傘下の中国緑色食品発展センターなどが認証を行っている。認証対象は農畜水産物および加工品となり、それらを総称して緑色食品と呼んでいる。緑色食品マークを貼付することによって農薬などに汚染されていない安全かつ優良な食品ということを消費者にPRすることができる。具体的には、A級緑色食品とAA級緑色食品の2つに分けられ、生産過程において前者は減化学肥料、減農薬により、後者は農薬や化学肥料を一切使用しないで生産された食品のことである。

 具体的な方策としては、緑色野菜の生産、供給を拡大するため、各県に全国でトップクラスの緑色野菜産業地区を形成し、江蘇省主導の下に緑色野菜の実証展示農場を200カ所開設したり、緑色野菜の生産額1億元(16億6000万円:1元=16.55円(2019年2月6日))以上の企業を10社程度まで増加したい考えだ。これらのことにより、現在の緑色野菜の作付面積34.8万ヘクタールを2020年までに87.1万ヘクタールまで増加させる。
 2016年の江蘇省の作付面積、生産量は表のとおりであり、平地が7割程度を占め、気候は年間を通して比較的温暖なため、全国第4位の野菜生産量を誇り、日本にも生鮮野菜、その加工品が多く輸出されている。
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 国・地域別については、最大の輸出先国である日本向けは、量販店での販売活動の強化などにより輸出額は2年連続で増加した(表2)。また、中国、米国など主要輸出先国への輸出が好調であった。中国については、前年はサード配備(注)の影響を受け輸出が大きく減少したが、2018年は調製粉乳(乳児用など)などの輸出が堅調に推移したため、輸出額、量ともに増加した。
 ASEAN(東南アジア諸国連合)については、ベトナム、マレーシアなどでショッピングモールと連携して大々的な韓国農産物の販売を推進したことなどが奏功し、輸出額、量ともに増加した。

 同部は、2019年について、日本、中国など既存市場の維持に加え、ASEAN市場への輸出拡大を図りたいと考えている。具体的には、韓国産生鮮農産物の専用販売店(K−Fresh Zone)を既存の3カ国(シンガポール、台湾、タイ)18カ所から香港、ベトナムを追加し、30カ所まで拡大する計画を有している。また、ベトナムにおいてコールドチェーン事業を試験的に実施する予定である。

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(注):2016年7月に韓国は北朝鮮の核ミサイルの脅威から国民を守るため、高高度ミサイル防衛システム(サード)を在韓米軍に配備した。中国側は、サードの高性能レーダーによって、自国の軍事基地が韓国に監視されることを嫌い、その報復措置として韓国製品の輸入時の検査強化など韓国経済への締め付けを行った。中国に輸出された韓国製品が品質基準を満たしていないなどとし、中国当局が輸入許可出さないケースが相次いだ。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:青沼悠平)
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