2018年の畜産物の生産実績、家きん部門が堅調(フィリピン)
フィリピン統計局は1月23日、2018年の畜産物の生産実績を発表した。これによると、生産量は527万5000トン(前年比3.6%増)、生産額は5539億ペソ(1兆2352億円:1ペソ=2.23円(2019年1月28日)、同9.3%増)となった(表1)。詳細は以下のとおり。
家畜部門の生産量は、牛肉、水牛肉などは減少したものの、豚肉、生乳は旺盛な需要を背景に増加し、282万7000トン(同1.8%増)となった。生産額は、年間を通してホテル、レストランなどからの需要が高く農家販売価格が堅調に推移したため、3216億ペソ(7172億円、同10.3%増)と大きく増加した。
豚肉については、バイオセキュリティの強化、事故率の低下、企業経営の増加などから生産量は増加した。生乳については、生乳価格の上昇により乳用牛飼養頭数が増加したほか、水牛およびヤギ由来の生乳生産量も増加した。
家きん部門は、引き続き鶏肉および鶏卵が好調であったため、生産量は244万8000トン(同5.8%増)、生産額は2323億ペソ(5180億円、同8.0%増)となった。
鶏肉、鶏卵ともに新たに経営を開始する者や、既存の事業を拡大する企業が相次ぎ、生産量は増加した。2017〜18年の鳥インフルエンザの発生を受け、一部の企業経営では、これまでの伝統的な鶏舎からバイオセキュリティを強化した閉鎖型鶏舎への改築が行われた。また、年間を通して養鶏農家への初生ひなの供給が安定したことも生産量が増加した要因として挙げられている。
食肉消費は、高い経済成長と人口の増加により、増加傾向にある。消費の大部分が豚肉と鶏肉であるが、1人当たりで見ると、鶏肉は増加傾向で推移している(図)。これは、ファストフード店が都市部以外でも出店攻勢を強めており、鶏肉の消費される機会が外食を通じて増えていることなどが考えられる。
鶏肉加工企業は、農家にブロイラーを委託生産させている場合も多く、鶏肉消費量の増加に伴い農家との契約件数も増加している。また、自国生産だけでは鶏肉を賄うことができないため、鶏肉供給量の約10%を米国、オランダ、ブラジルなどの国から輸入している(表2)。そのほとんどが生鮮鶏肉となっており、加熱加工品の輸入量は少ない。
【青沼悠平 平成31年1月30日発】
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