欧州委員会は1月29日、米国産大豆をEU域内でバイオ燃料原料として利用することを認めると発表した。環境面に配慮した持続可能なバイオ燃料生産を目指すEUが求める技術要件が満たされていることを確認できたとし、2021年7月1日までの利用を可能とした。米国産大豆のEU輸入量が増加傾向にある中、今回の措置によるさらなる拡大が見込まれる。
欧州委員会によると、EUの大豆輸入量は、2018/19穀物年度開始から第27週目までの間(およそ半年間)の合計(注)で前年同期比11.8%増となった。そのうち米国産は、同112.4%増と大幅に増加している。同輸入シェアも同様に増加しており、前年同期には39.2%(第1位。第2位はブラジルの27.8%)であったものの、今年度同期には74.5%(第2位のブラジルは19.0%)となっている。
業界誌によると、欧州委員会のセシリア・マルムストローム貿易担当欧州委員は、この状況は米国・中国間の通商関係の悪化(関税の引き上げ)によるものではなく、米国産大豆の価格下落によるものであるとした。欧州委員会は、EUの定める再生可能エネルギーの利用促進のための「持続可能性基準」である温室効果ガスの削減率などの品質面で米国産大豆をバイオ燃料の原料として適切なものであるとしたうえで、今回の決定は、主要な大豆供給国である米国のEU市場のさらなる拡大の機会になるであろうとした。また、前年に新しく採択された2021年から2030年の「再生可能エネルギー指令」の基準が満たされる場合、2021年以降も今回の決定を延長するとした。
注:穀物年度は各年7月1日から6月30日。2018/19年度は2018年7月1日から12月30日、2017/18年度は2017年7月1日から12月31日の合計。
なお、今回の発表は、2018年7月のEU・米国首脳会談における米国産大豆の輸入拡大の合意などが含まれていた共同声明のフォローアップの一環として行われたものである。