イギリスの大手新聞ガーディアン(Guardian)紙は、ばれいしょでん粉を原料とする生分解性の包装材を利用することとした。同紙によると、この包装材は生ごみを堆肥にするコンポストなどに捨てることができるという。ロンドンをはじめとする都市で、配送・販売される新聞
(注1)は2019年1月からこの包装材に切り替わっており、それ以外の地域は今後数カ月の間に順次切り替わる予定である。
注1:イギリスでは、新聞が分冊になっていたり、別冊子などがセットになって販売されていたりするため、袋詰めされた新聞が販売されている。
今回採用されたばれいしょでん粉を原料とする包装材の特徴は以下の通りである。
・通常は廃棄されていたばれいしょ(くずいも)をでん粉原料として使用。(新たに原料を生産する必要がない。)
・遺伝子組み換えでないのばれいしょを使用。
・材料は石油由来のプラスチックや有害物質を含まず、完全に生分解する。
・ポリエチレン製の従来の包装材と同等の耐久性がある。
・「OK Compost HOME」
(注2)を取得。
注2:欧州標準化委員会(CEN)による規格(EN13432)で定められた認証。家庭用コンポスト容器にも捨てることができる商品が認証される。
同紙によると、適切な環境下の堆肥場やコンポスト容器であれば6カ月で分解されるという。ソーシャルメディアでの反応は総じて好評だが、堆肥化することが地方自治体に許可されているのかという疑問の声も聞かれる。
この包装材への移行によって増加したコストについては明らかにされていないが、この変更と同時に1部当たり0.2ポンド値上げされ2.2ポンド(314円、土曜版のみ0.3ポンド値上げされ3.2ポンド〈458円〉)になった。ただし、定期購読と電子配信の料金は据え置かれた。
国内の他の新聞社からは、生分解性の包装を採用する、帯状の紙による簡易的な包装を実施する、そもそも包装をなくすなど、環境負荷の少ない方法をすでに実施しているというコメントもある。
【岡 千晴 平成31年2月5日発】