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有機(オーガニック)農地、5年間で25%増(EU)

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 欧州連合(EU)統計局(Eurostat)は1月30日、2017年のEUにおける有機(オーガニック)農業の取組面積(注)が5年前の2012年と比較して25%の増加となり、1260万ヘクタールであったと発表した。これは、EUの総利用農地の7%に及んでいる。
 
(注)有機認証された農地面積と、有機に転換中の農地の合計である。有機と認証されるためには、品目により2〜3年の転換過程を要する。
 
 総利用農地に占める割合を加盟国別にみると、最も大きいのはオーストリア(23.4%)で、次いでエストニア(19.6%)、スウェーデン(19.2%)、イタリア(14.9%)となっている。一方、同割合が最も小さいのはマルタ(0.4%)で、次いでアイルランド(1.7%)、ルーマニア(1.9%)、ブルガリア(2.7%)、英国(2.9%)となっている。
 取組面積でみると、最大はスペイン(EU全体の有機農業取組面積の16.6%)で、次いでイタリア(同15.2%)、フランス(同13.9%)、ドイツ(同9.1%)となっており、この上位4カ国で過半を占める。一方、農業生産主要国のうち面積が小さいのは、アイルランド(同0.6%)、オランダ(同0.4%)などとなっている。
 現地報道によると、ブルガリアとクロアチアの同面積は、同期間で2倍の増加となっている一方、ルーマニア(同10.3%減)、ギリシャ(同11.3%減)、英国(同15.6%減)、ポーランド(同24.5%減)で減少となるなど、EU全体での増加傾向の中でも加盟国間で大きな差が生じている。
 EUにおける共通農業政策(CAP)にあっては、有機と認証された農業経営は直接支払いに緑化支払分として加算された補助金を受けることが可能である。また、フランスでは有機農業に転換中の農家も含め、有機農業に取り組む農家に対し補助金を支出するなど、加盟国によってはさらなる支援をおこなっているところもある。
EUでは、健康や環境への配慮から有機食品に対する需要が強まっており、2016年の有機食品売上高は2007年比で2倍以上、2000年比では4倍と市場が拡大しているとの試算もある。EUの同売上高は世界で米国の390億ユーロ(4兆9530億円)に次ぐ307億ユーロ(3兆8989億円)となっており、EU内では、ドイツ(94億ユーロ(1兆1938億円))、フランス(67億ユーロ(8509億円))の順となっているとの報道もある。
 一方、消費者のそのような選択に、生産が追い付いていないのが現状であり、有機団体や市場関係者がより多くの農家に有機農業への転換を呼びかけるなどしているという。
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【調査情報部 平成31年2月13日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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