欧州連合(EU)の統計局(Eurostat)が公表した、2018年12月時点の豚飼養頭数によると、EU28カ国の総飼養頭数は、前年比1.0%減の1億4877万頭となった。
内訳を見ると、肥育豚(50キログラム以上)は6120万頭(同0.6%増)と前年を上回ったものの、繁殖母豚は1181万頭(同3.0%減)、子豚(20〜50キログラム)は3382万頭(同2.2%減)と前年を下回った。
EUの豚枝肉卸売価格は、2017年9月以降、前年同月を下回る水準で推移しており、同価格の低迷がEU各国での飼養頭数の減少の主な要因のひとつとなっている。
このような中、EU最大の飼養頭数を誇るスペインの総飼養頭数は、前年比3.9%増となる3115万頭(EU全体に占める割合は21%)となった。同国は、養豚産業を基幹かつ成長産業とし、世界各地への輸出を拡大させている。ドイツを抜いた2015年以降、1位を維持しており、6年連続での増加となった。なお、肥育豚頭数をみると、EU最大の豚肉生産国であるドイツを100万頭以上上回る1303万頭(前年比8%増)となっている。
第2位のドイツの総飼養頭数は同4.1%減の2644万頭(EU全体に占める割合は18%)となった。なお、繁殖母豚、子豚、肥育豚のいずれも減少している。同国の2018年(1〜11月)の豚肉輸出量を見ると、域外向けは前年同期比増となったものの、域内向けが減少し、輸出全体では、前年同期比2.1%の減少となった。
第3位のフランスの総飼養頭数は、同2.7%増の1371万頭となり、2年連続で増加した。なお、繁殖母豚、子豚、肥育豚のいずれも増加している。同国の2018年(1〜12月)の豚肉輸出量を見ると、域外向けは前年比減となったものの、イタリアへの輸出量が増えたことから域内向けが増加し、輸出全体では、前年比1.3%の増加となった。
第4位のデンマークの総飼養頭数は、同1.5%減の1264万頭となった。デンマークは子豚の輸出が盛んで、ドイツとポーランドを中心に輸出をしている。今回、肥育豚頭数の減少率(同3.4%減)が大きいが、これは、特にポーランド向けの子豚の輸出頭数が増加したことによるものとみられる。
なお、欧州委員会は、12月に公表した主要農畜産物の中期見通し「EU Agricultural outlook for markets and income 2018–2030」の中で、主要な豚肉生産国で母豚の飼養頭数が減少していることから、2019年のと畜頭数も減少し、2019年の豚肉生産量は、前年比1.0%減になると見込んでいる。