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2018年の乳製品輸出量、脱脂粉乳は前年比増、チーズは前年並み(EU)

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 欧州委員会の公表によると、2018年のEUの乳製品輸出量は、脱脂粉乳(前年比5.4%増)で前年を上回り、チーズ(同0.5%増)は前年並みとなった。また、全粉乳(同14.9%減)およびバター(同6.7%減)は前年を下回った。
 
 主要乳製品輸出量を品目別に見ると、脱脂粉乳の輸出量は2年連続で増加し、前年比5.4%増の82万1750トンとなった(表1、図1)。脱脂粉乳の輸出量は、8月までは2月および7月を除いて前年同月と比べ減少したものの、9月以降は前年同月比増で推移した。
 最大の輸出先はアルジェリアで、前年比7.9%増の14万3264トンとなった。なお、アルジェリア向け輸出量のEU各国のシェアをみると、ポーランドが38%、ベルギーが26%、フランスが24%となっている。第2位は中国で、前年比29.3%増の9万1920トンとなった。輸出国のシェアは、ドイツが24%、フィンランドが14%、フランスが13%となっている。
 輸出相手先の多くで輸出量が増加しており、その背景には、EUが抱えていた脱脂粉乳の公的在庫が重しになり、EU産の脱脂粉乳価格が低迷していたことが考えられる。なお、当初38万トンあった公的在庫は残りわずか1139トン(第35回売渡入札(2019年4月16日実施)対象数量)となり、EUの脱脂粉乳平均卸売価格は2019年3月11日の週に100キログラム当たり192.01ユーロ(公的買入価格の22.21ユーロ高)になるなど上昇している。(図2)
 
表1
図1
図2
 チーズの輸出量は、前年並み(前年比0.5%増)の83万2492トンとなった(表2、図3)。チーズの輸出量は、一年を通して前年同月比で増減を繰り返しながら推移した。
 最大の輸出先は米国であるが、2018年は米国が、過去最高水準のチーズの在庫を抱えていたことから輸入量を減らしており、米国向け輸出量は同5.1%減の13万3555トンとなった。米国向け輸出量のEU各国のシェアをみると、イタリアが24%、フランスが19%、オランダが11%となっている。
 第2位の日本は前年比12.5%増の10万6609トンとなった。輸出国のシェアは、オランダが28%、ドイツが18%、デンマークが17%となった。
 また、カナダは同30.7%増の2万205トンとなり大幅に増加した。これは、2017年9月に暫定適用されたEUカナダ包括的貿易投資協定(CETA)にて設けられた無税の関税割当枠を利用しての輸出が増えたからと考えられる。輸出国のシェアは、イタリアが32%、フランスが25%となった。
 
表2
図3
  輸出量が減少した全粉乳は、前年比14.9%減の33万4310トンとなった。輸出先第1位のオマーンは同16.3%増の4万8439トンとなり、オマーン向け輸出量のEU各国のシェアをみると、スウェーデンが44%、デンマークが30%であった。また、第2位のアルジェリアは同59.0%減の2万6401トンとなり、オランダがシェアの48%を占めた。
 輸出量が減少したバターの輸出量は、同6.7%減の12万8024トンとなった。輸出先第1位の米国向けは同4.3%増の2万7881トンとなり、シェアの83%をアイルランドが占めた。また、第2位のサウジアラビアは同11.6%増の1万1101トンとなり、シェアの77%をデンマークが占めた。
 
【前田絵梨 平成31年3月25日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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