豚肉卸売価格は高水準を維持し、輸入は増加の兆しか(中国)
北京市、上海市、四川省成都市、河南省周口市(注1)の卸売市場の豚枝肉の価格をみると、3月6日〜12日ごろに急上昇し、その後、若干下落したあと再び上昇し、高水準を保っている(図1)。
例年、豚肉の卸売価格は、需要が高まる春節(旧正月、1月後半から2月)前後にピークとなり、その後下落して4〜6月に底を打って反転上昇する。春節の1か月後に価格が上昇するのは異例であり、豚肉供給に変調が起きている可能性がある。
注1:北京市、上海市は大消費地、四川省は大生産地かつ大消費地、河南省は大生産地である。
注2:中国の豚肉価格の季節変動の詳細については、海外情報「豚肉卸売価格が上昇」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002421.html)、『畜産の情報2018年4月号「中国の養豚をめぐる動向と環境規制強化の影響」』(https://www.alic.go.jp/content/000152894.pdf)のP80を参照。
中国の豚肉輸入量の統計は、現在のところ2019年2月までしか確認することができないが、2月の時点では例年と特段大きな違いはみられない(図2)。
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一方、米国から中国への豚肉の週間輸出量をみると、中国が米国産豚肉に追加関税の第一弾を課した2018年4月以降に減少し、第二弾が課された7月以降はほぼゼロで推移していたが、12月頃から増加しはじめ、2019年2月以降は例年よりも高い水準で推移している(図3)。中国の豚肉輸入量に占める米国産の割合は2017年で16%と高くないため、他国からの輸出量が分からなければ、確かなことは言えないが、中国で豚肉が不足しはじめている兆候の可能性がある。
なお、2019年2月上旬(14日の週)に輸出量が急上昇したのは、1月10日の週から2月7日の週の間の輸出量が米国政府系機関の閉鎖によって集計されていなかったものが、まとめて計上されたためだと考えられる。2月14日の週の輸出量として計上されている17,215トンを当該期間で平均すると、週当たり約2900トンとなる。
中国では、引き続き多くの省でアフリカ豚コレラが発生している(図4)。2019年3月29日時点で、直近では、3月21日に重慶市での発生が公表されている。
中国政府は、アフリカ豚コレラが発生した県、市、省などからの子豚や生体豚、豚肉などの搬出を制限しており、それによってこれらが不足する地域や過剰となる地域が発生する懸念がある。
中国農業農村部は、2018年12月27日付け通知で、一定の条件を満たすものについては、搬出の制限を緩和した(図5)。
【三原亙 平成31年3月29日発】
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