2019年の大豆作付意向面積が前年比5%減少(米国)
トウモロコシ作付意向面積は2018年から4.1%増加
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)は3月29日、2019年のトウモロコシおよび大豆の作付意向調査結果を公表した。トウモロコシの作付意向面積は9279万エーカー(3755万ヘクタール)と推定され、前年比4.1%増となった。州毎では、調査をした48州のうち34州で増加または現状維持となっている。
大豆の作付意向面積は2018年から5.1%減少
2019年の大豆の作付意向面積は8462万エーカー(3424万ヘクタール)と推定され、前年比で5.1%減となった。州毎では、調査をした29州のうち26州で減少または現状維持となっている。
2018年は近年の世界的な大豆需要の高まりを受けて、大豆の作付面積が35年ぶりにトウモロコシを上回るという記録的な年となったが、2018年7月に中国が米国産大豆に追加関税を賦課したことにより、米国産大豆の国際市場価格が下落し、米国内には行き場を失った大豆の在庫が積み上がっている。
同日、USDA/NASSが公表した穀物在庫によれば、2019年3月1日現在のトウモロコシの在庫は前年比3.2%減の86億488万ブッシェル(2億1857万トン)となった一方、大豆の在庫は同28.7%増の27億1555万ブッシェル(7391万トン)となった。大豆については、特に生産者在庫が同48.5%増の12億7000万ブッシェル(3456万トン)と大幅に増加しており、先行きが不透明な大豆からトウモロコシに作付を変更する意向が示されたとみられている。
今回の作付面積予測は3月の第1週から第2週にかけて行われた生産者からの聞き取り調査に基づくものである。そのため、2018年12月1日から2019年2月28日までの90日間と設定された米中間の貿易協議が合意に達していないことも作付意向に反映されている可能性がある。また、2019年3月下旬にトランプ大統領が中国に対して追加関税を賦課し続けるとコメントしたこともあり、今後も不透明感は続くことが予測されることから、トウモロコシや大豆の作付面積が今回の予測からさらに減少することも大いに考えられる。
先のトランプ大統領のコメントに対して、米国大豆協会(ASA)デイビィ・スティーブンス会長は、「追加関税が公平な貿易という観点から撤回されるのではなく、中国が貿易協定を確実に順守するための担保として維持されるというトランプ大統領の声明に失望している。お互いに賦課している関税が貿易協定を締結させる原因になっているのであれば、なぜその関税を撤廃してその原因を解決させるということが貿易協定の優先事項にならないのか? 米国と中国は関税問題を解決しないままで、どうやって貿易協定が締結できるというのか。中国がこれまでの約束を反故にしてきた歴史を考えると、トランプ大統領が協定条項の執行に執着することは理解している。そして、協定が順守されなかった場合に備えて関税を再度賦課する”スナップバック”を協定に含めたいことも理解できる。しかし、この貿易紛争に巻き込まれ、損害を被ることにはもううんざりだ」とコメントしており、米国産大豆を取り巻く現状に強い不満を示している。
今後明らかになる実際の作付面積も最終的な生産量を推測する上で重要な指標となるが、作付面積は天候の影響を大きく受ける。現地報道によれば、米国中西部では、3月中旬に見舞われた歴史的洪水被害によりトウモロコシの作付に遅延や中止がみられており、作付時期がトウモロコシより遅い大豆の作付面積が増加する可能性が指摘されている。作付後も、天候によってはミシシッピ川の下流域でも生産に影響が及ぶ可能性が指摘されるなど、穀物をめぐる貿易状況と同様に生育状況をめぐる天候も注目される。
【調査情報部 平成31年4月4日発】
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