2018/19年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第7回)を公表(ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は4月11日、2018/19年度(10月〜翌9月)第7回目となる主要穀物の生産状況等調査結果の要約版を、同19日に州ごとの分析や細かい講評を加えた完全版を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)と、秋植えの冬期作物(第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
これによると、主要穀物の作付面積および生産量はともに前年度を上回る見込みとなった(表1)。
トウモロコシの生産量を見ると、第1期作では、主産地であるリオグランデドスル州を中心に単収が回復する一方、ミナスジェライス州などでは、干ばつによる単収減の影響が大きかったことから、前年度をやや下回る見込みとなった(図1)。第2期作では、単収の回復による生産増が見込まれている。また、大豆については、パラナ州やマットグロッソドスル州を中心に、干ばつの影響で単収減が見込まれることから、前年度をやや下回る見込みとなった。なお、両作物とも、前回予測より上方修正された。(図2)。
トウモロコシ生産は前年度を上回る見込み
第1期作は、リオグランデドスル州とミナスジェライス州で明暗分かれる
主要生産州(上位5州)のうち、リオグランデドスル州では、生育期〜収穫期にかけての良好な天候が後押しし、同19.5%増の576万8100トンと好調な生産が見込まれている。一方、昨年度最大生産州であったミナスジェライス州では、大豆への作付けのシフトに加え、昨年12月から今年1月にかけての干ばつの影響で単収の減少が見られていることから、生産量は同15.2%減の457万3500トンと予測されている。
第2期作生産量、単収の回復により上方修正
第2期作トウモロコシの生産量は、前回報告から2.8ポイント増加し、前年度比26.4%増の6813万7900トンを見込んでいる(表3)。ほぼ全ての生産州において、昨年の干ばつからの回復が見込まれていることから、単収の大きな改善が予測されている。特に、被害が大きかったとされているパラナ州、マットグロッソドスル州、サンパウロ州では、前年度比30%を超える増加率となっており、パラナ州では、3月の良好な天候を受け、前回報告から7.6ポイント上方修正されている。
トカンチンス州で大幅な生産回復
北東部に位置する新興農業開発地域のマトピバ地域におけるトウモロコシ生産量は、前年度比8.0%減の591万9100トンと見込まれている(表4)。昨年度マトピバ地域最大の生産州であったバイーア州では、第1期作において同州西部地域の小規模生産者の作付面積が減少したことに加え、降雨不足による単収の減少が見込まれることから、同28.3%減とされている一方、トカンチンス州では、主に第2期作において、単収が大幅に落ち込んだ前年度からの回復が見込まれていることに加え、表作である大豆の収穫が順調に進み、二期作トウモロコシの作付意欲が増大したことから、作付面積は前回報告から20.6ポイント上昇修正され、同17.0%増、生産量は27.5ポイント上方修正され、同47.0%増となっている。
パラナ州を中心に干ばつの影響が表面化
大豆生産量は、前年度比4.6%減の1億1382万3400トンと見込まれている(表5)。今年度は、大豆播種が10月〜11月の春期間に定期的な降雨が見られたことで、記録的なペースで進んだ。しかしながら、12月以降、パラナ州やゴイアス州、マットグロッソドスル州などで、記録的な高温と干ばつが発生したことによる被害が大きかったとされている。
マトピバ地域ではトウモロコシ同様バイーア州での降雨不足を懸念
マトピバ地域の大豆生産量は、前年度比10.5%減の1337万4300トンと見込まれている(表6)。トカンチンス州では順調な作付けが進んでいるものの、マトピバ地域最大生産州のバイーア州では、第1期作トウモロコシ同様、降雨不足による単収の減少が見込まれていることから、生産量は前年度を大きく下回るとされている。
【佐藤 宏樹 平成31年4月26日発】
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