砂糖の調整保管を400万トン規模で実施へ(インド)
最終更新日:2019年7月31日
インドの政策決定機関である内閣経済対策委員会は7月24日、長引く砂糖の国内価格の低迷に対処するため、8月1日から砂糖の調整保管を400万トン規模で実施する計画を承認した。今回の措置は製糖事業者などに対し在庫の保管に係る経費を補助する仕組みで、その総額は最大で167億4000万ルピー(287億9280万円)(注1)と見込まれている。
インドでは2017/18年度(注2)以降、過剰在庫を背景に砂糖の国内価格が下落し、製糖事業者の採算が取れない事態が続いている(図)。経営状態が悪化した製糖事業者は農家へのサトウキビ代を支払うことができず、2018/19年度におけるサトウキビ代の延滞総額は7月15日時点で1520億ルピー(2614億4000万円)と報道されている。同委員会の発表によると、政府は2018年7月1日から300万トン規模の調整保管を1年間実施し、国内の砂糖価格の上昇、製糖事業者の経営状態の改善、サトウキビ農家に対する延滞金の解消などを目指したが、十分な効果が得られなかったため、調整保管の規模を300万トンから400万トンに広げ、これらの問題の解決に引き続き取り組むとしている。
今回の同委員会の決定についてインド製糖協会(ISMA:Indian Sugar Mills Association)は、調整保管が引き続き実施されることにより製糖事業者の経営状態が改善されるだけではなく、砂糖の需給が引き締まり価格の回復が期待できると述べ、歓迎の意を示した。
ISMAによれば、2019/20年度の砂糖生産量は干ばつの影響を受けて前年度比14.3%減の2820万トンとなるものの、消費量2600万トンをわずかに上回ると見込まれている。このため、過去最高と予測される2018/19年度の期末在庫は解消のめどが立っていない。
なお、同委員会は同日、2019/20年度におけるサトウキビの最低買い取り価格(FRP:Fair and Remunerative Price)(注3)を3年ぶりに据え置き、1キンタル(100キログラム)当たり275ルピー(473円)とすることも発表した(表)。
(注1)1インド・ルピー=1.72円(2019年6月末日TTS相場の値)である。
(注2)インドの砂糖年度は、10月〜翌9月である。
(注3)砂糖の生産コストなどを基に政府が算出する価格で、サトウキビを同価格より安く買い取るこ
とが禁止されている。
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