畜産法による家畜の範囲に昆虫14種を追加(韓国)
韓国農林畜産食品部は2019年7月25日付けで畜産法施行規則の委任を受けた告示である「家畜に定めるその他の動物」を改正し、昆虫を畜産に関する基本的法規である畜産法による家畜と認定した。
今回の改正により、家畜に含まれた昆虫は「昆虫産業の育成及び支援に関する法律」による流通または販売可能な昆虫の中の計14種である(表)。今回は現在、生産・流通している昆虫のうち在来の昆虫として、飼育法が開発されており、生態系を破壊する懸念の低い種が優先された。
同国では以前から、昆虫飼育業は「農業・農村及び食品産業基本法」による農業の範囲で認められていたが、「畜産法」の家畜に含まれておらず、他の法律の適用などに一部の限界があったため、今回の告示改正により「昆虫飼育業」が「畜産業」として明確になったことに意味があるとされている。
今回の改正により、家畜と認定された昆虫を飼育する農家は畜産農家と認められ、昆虫飼育施設は畜産施設として以下の制度の恩恵を享受できることとなった。
(1)自耕農民(2年以上、営農に従事した者または後継農業経営者)が農業用として直接使用するため、畜舎を取得する場合、取得税と地方教育税は50%減免、農漁村特別税は非課税
※地方税減免の根拠法である「地方税特例制限法」では、第6条第2項第2号の「畜舎」について「畜産法」に基づく家畜の飼育施設と定めている。
(2)山地に畜舎を設置する場合、敷地面積3万平方メートル未満の範囲内で、山地転用許可を受けることができる。
※畜産法による家畜に含まれない昆虫は、従来と同様、敷地面積3千平方メートル未満の範囲における山地転用申告対象となる。
また、農林畜産食品部の関係者は、「今回の告示改正に含まれなかったアメリカミズアブ(環境浄化用、飼料用)など、外来起源の昆虫については、生態系に関する安全性を十分に確保した後、関係省庁と協議を続けることにし、今後も昆虫産業の育成に努める」と述べている。
なお、政府が把握している昆虫産業 (生産、加工、流通)の申告者は2018年時点で、全国に2,318カ所あり、前年比8.5%増、2015年比3倍増と昆虫産業は急速に成長している。
関係者によると、昆虫産業の中では学習・愛玩用の市場規模が一番大きいが、食肉よりも高たんぱく低脂質であるため粉末にして高齢者等用の食品とされるなど、食用としても一定の市場規模がある。
【小林 智也 令和元年8月16日発】
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