米国農務省による世界のトウモロコシ・大豆需給予測(2019年8月)
2019/20年度の世界のトウモロコシ生産量、1.3%減へ上方修正
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2019年8月12日、「Grain:World Markets and Trade」を公表し、世界のトウモロコシ需給予測値を更新した。
今回の予測では、主要国のうち米国とウクライナの生産量が上方修正された。特にウクライナは過去最高の3650万トン(前年度比1.9%増)と見込まれている。
この結果、2019/20年度の世界のトウモロコシ生産量は、前回の同1.6%減から上方修正され、同1.3%減の11億824万トンと予測されている(表1)。
輸出量は、ウクライナがEU、中東、中国向けを中心に過去最高数量が見込まれることなどから、同1.5%増の1億7284万トンと予測されている。
輸入量は、中国が大幅な増加見込みであることから、同1.5%増の1億7284万トンと予測されている。
消費量は、米国を除く主要国で前年度を上回るものの、米国が減少見込みであることから、同0.4%減の11億2909万トンと見込まれている。
期末在庫は、中国や米国で取り崩しが進むことから、同6.3%減の3億772万トンと予測されている。
2019/20年度の世界の大豆生産量、前年度比5.8%減へ下方修正
USDA/FASが2019年8月12日に公表した「Oilseeds:World Markets and Trade」によると、2019/20年度の世界の大豆生産量は、ブラジルと中国が増産見込みであるのに対し、米国が作付面積の減少に伴う減産見込みであり、さらにアルゼンチンも減産見込みであることから、前回の前年度比4.4%減から下方修正され、同5.8%減の3億4183万トンと予測されている(表2)。
輸出量は、最大の輸出国であるブラジルが減少見込みであるものの、米国の増加がそれを上回ることから、同0.6%増の1億4917万トンと予測されている。
輸入量は、世界の過半を占める中国が前年度をわずかに上回ることから、同0.9%増の1億4887万トンと予測されている。
消費量(搾油仕向け)は、最大の消費国である中国が前年度並みであるものの、米国をはじめとする他の主要国が増加することから、同2.4%増の3億708万トンと予測されている。
期末在庫は、ブラジルを除く主要国で取り崩しが進むと見込まれていることから、同11.2%減の1億174万トンと予測されている。
2019/20年度の米国のトウモロコシ生産量、上方修正されるも依然として減産予測
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は2019年8月12日、2019/20年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給見通しを公表した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである。
先月の同レポートでは、作付面積の調査時に主産地の天候が不順であったことから作付面積の再調査を行うことが発表されていた。
こういった経緯から、今月の予測には市場関係者の注目が集まっていたが、今回、同再調査結果を踏まえ作付面積は下方修正された。また、単収は上方修正されたものの依然として前年度を下回る見込みとなった。この結果、生産量は上方修正されたものの前年度比3.6%減の139億100万ブッシェル(3億5309万トン(注1))と予測されている(表3)。
消費量は、飼料等向けが減少見込みであることから、同0.4%減の120億8000万ブッシェル(3億683万トン)と予測されている。
輸出量は、生産量の減少に伴い、同2.4%減の20億5000万ブッシェル(5207万トン)と予測されている。
期末在庫は、生産量の上方修正に伴い上方修正されたものの、同7.6%減の21億8100万ブッシェル(5540万トン)と、かなりの程度取り崩される見込みとなっている。
生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.60米ドル(1キログラム当たり15.2円:1米ドル=107円)と見込まれている。
(注1)1ブッシェルを25.4キログラムとしてALICが換算。
【藤原琢也 令和元年8月22日発】
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