米国農務省による世界のトウモロコシ・大豆需給予測(2019年10月)
2019/20年度の世界のトウモロコシ生産量、前年比1.7%減へ下方修正
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2019年10月10日、「Grain:World Markets and Trade」を公表し、世界のトウモロコシ需給予測値を更新した。
今回の予測では、主要国のうち米国の生産量が下方修正されたことにより、2019/20年度の世界のトウモロコシ生産量は、前回比0.1%減の11億401万トンとわずかに下方修正された。同時に前年度の世界の生産量が上方修正されたことから、前年比は1.7%(前回1.5%)減となっている(表1)。
輸出量は、堅調な輸出が続いているブラジルの輸出量が前回から上方修正されたものの、米国の輸出量が下方修正されたことなどから、前回の前年度比0.6%増の予測から同0.1%減の1億7084万トンと前年割れに転じると見込まれている。
輸入量は、中国が大幅な増加見込みであるものの、サウジアラビアやメキシコが下方修正されたことなどから、同0.1%減の1億7084万トンと予測されている。
消費量は、米国を除く主要国で前年度を上回るものの、米国が減少することなどから、同1.3%減の11億2549万トンと見込まれている。
期末在庫は、米国、中国、ウクライナで取り崩しが進むことなどから、同6.6%減の3億255万トンと予測されている。
2019/20年度の世界の大豆生産量、米国の減少により下方修正
USDA/FASは2019年10月10日、「Oilseeds:World Markets and Trade」を公表し、世界の大豆需給予測値を修正した。
今回の予測では、単収および収穫面積の減少に伴い、米国の生産量が前回よりも下方修正されたことなどから、2019/20年度の世界の大豆生産量は、前年度比5.5%減の3億3897万トンと予測されている(表2)。
輸出量は、アルゼンチンを除いて主要国のいずれも増加見込みであることなどから、同0.5%増の1億4939万トンと予測されている。
輸入量は、最大の輸入国である中国が前年度をわずかに上回ることなどから、同1.2%増の1億4810万トンと予測されている。
消費量(搾油仕向け)は、最大の消費国である中国が前回に引き続き前年度並みと見込まれているものの、米国をはじめとする他の主要国が増加することなどから、同1.9%増の3億521万トンと予測されている。
期末在庫は、ブラジルを除く主要国で取り崩しが進むと見込まれていることなどから、同13.3%減の9521万トンと予測されている。
2019/20年度の米国のトウモロコシ生産量、収穫面積の減少により下方修正
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は2019年10月10日、2019/20年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給見通しを公表した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである。
生産量は、収穫期に差し掛かっている時期であるが、今月の予測では、収穫面積の減少に伴い前回よりも下方修正され、前年度比4.4%減の137億7900万ブッシェル(3億4999万トン(注1))と予測されている(表3)。なお、単収は前回よりも上方修正され、1エーカー当たり168.4ブッシェルと見込まれている。
消費量は、飼料等向けが前回よりも上方修正されたものの、同2.4%減の121億1500万ブッシェル(3億772万トン)と予測されている。
輸出量は、生産量の減少や米国産の価格競争力の低下に伴い前回よりも下方修正され、同8.0%減の19億ブッシェル(4826万トン)と予測されている。
期末在庫は、期首在庫や生産量が減少したことに伴い、同8.8%減の19億2900万ブッシェル(4900万トン)と、かなりの程度取り崩される見込みとなっている。
生産者平均販売価格は前回よりも上方修正され、1ブッシェル当たり3.80米ドル(1キログラム当たり16.3円:1米ドル=109円)と見込まれている。
(注1)1ブッシェルを25.4キログラムとしてALICが換算。
【山口真功 令和元年11月1日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 国際情報グループ (担当:山口真功)
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