国際情報コーナー 農畜産物全般、畜産、野菜、砂糖、でん粉の海外情報、輸出促進対策などの記事、統計

ホーム > 国際情報コーナー > 海外情報 > 海外情報(砂糖) > 韓国政府、英国とのFTAで砂糖など9品目をセーフガード対象品目に設定

韓国政府、英国とのFTAで砂糖など9品目をセーフガード対象品目に設定

印刷ページ

最終更新日:2019年11月7日

 韓国の産業通商資源部は10月28日、6月に英国との間で合意した自由貿易協定(FTA)の国内手続きを完了したと発表した。この協定は、英国がEUから離脱した後も、韓国がEUと締結しているFTA(以下「韓EU・FTA」)と同水準の貿易条件(注1)を維持することを目的に締結したもので、英国のEU離脱と同時に発効する。

 仮に、英国がEUとの合意期限である2020年1月末までに離脱した場合、韓国が英国から輸入する農産物については韓EU・FTAの9年目の関税率が適用される見通しである。また、英国のEU離脱に伴いEU域内に拠点を置く韓英両国の企業を取り巻く環境が激変する可能性が高いことを考慮し、FTA発効から3年間はEU産原料を使用した産品や、EU域内の第三国を経由した貿易であっても、協定の適用対象とする。

 韓国と英国のFTAでは、韓EU・FTA同様、韓国は砂糖(精製糖)、ばれいしょでん粉、化工でん粉など9品目について、輸入の増加により国内産業に大きな影響が及ぶ恐れがあるとし、セーフガード(緊急輸入制限)措置を設定している(表)。

(注1)韓EU・FTAでは、韓国は農産物の96.2%の品目について関税を削減または最長20年かけて段階的に撤廃し、EUは同98.1%の品目について関税を最長5年かけて段階的に撤廃することで合意した。2011年7月に発効した同FTAは、発効9年目を迎え、EUは約束通り対象品目すべての関税を撤廃している。
表 韓国・英国FTAにおける韓国のセーフガード措置(砂糖、ばれいしょでん粉、化工でん粉)
 2011年以降のEUから韓国に輸出された砂糖、ばれいしょでん粉、化工でん粉の輸出量の推移を見ると、ばれいしょでん粉は増加傾向、化工でん粉は横ばいまたは微増で推移、砂糖は2018年の輸出量が前年比4.8倍になっている。ただし、この輸出量の中で英国が占める割合はセーフガード措置の基準数量を見ても分かる通りごくわずか(注2)で、今回のFTAにより同国の砂糖・でん粉産業が受ける恩恵は薄いとみられる。

(注2)直近5年間の英国が韓国に輸出した砂糖、ばれいしょでん粉、化工でん粉の数量は、いずれの品目も年間1トン未満である。
図 EUにおける韓国向け輸出量の推移(砂糖、ばれいしょでん粉、化工でん粉)
【坂上 大樹 令和元年11月7日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4396