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米国産農産物の免税措置を実施(中国)

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 米国産豚肉および大豆などの輸入については、米中貿易摩擦により追加関税が賦課されている。豚肉については、冷凍豚肉の最恵国税率が12%であるところ、2018年4月2日と7月6日にそれぞれ追加で25%、2019年9月1日に10%課税され、合計72%となっている。また、大豆については、最恵国税率が3%であるところ、2018年7月6日に25%、2019年9月1日に5%課税され、合計33%となっている(表)。
表 追加関税賦課の状況
 豚肉については、ASF(アフリカ豚コレラ)などの影響により飼養頭数が減少しており、2019年1〜9月の豚肉生産量は前年同期比17.2%減の3181万トンであった。不足分を補うために輸入量が増加しており、輸入価格も上昇している(図1)。
図1 豚肉輸入価格の推移
 また、大豆油の需要が多い中国では、原料となる大豆の約6割を輸入に依存している。追加関税の賦課により、2018年は、例年であれば米国産大豆の輸入が増加する9月以降の輸入量が大幅に減少していた。しかしながら、2019年2月以降は毎月一定量の大豆が輸入されている(図2)。
図2 大豆の月別国別輸入量の推移
 このような中、中国国務院関税税則委員会が2019年10月末に、一部企業が米国から一定量の大豆、豚肉等の農産品を購入する場合の追加関税の適用を除外する旨公表した。大豆については、九三糧油工業集団有限公司、匯福糧油集団などの輸入分が除外対象となっている。
 米国農務省によると、中国における2017年10〜翌年9月の大豆の工業用仕向け量は9000万トンである。各企業の輸入量は明らかにされていないが、九三糧油工業集団有限公司の年間大豆加工能力は1200万トン、匯福(Hopefull)糧油集団は同900万トンであり、中国において加工用大豆を多く使用する大手企業が追加関税除外対象となっていることがわかる。
 現地報道によると、今回の免税措置はテスト段階にすぎず、今後対象が拡大していく可能性がある。
【寺西 梨衣 令和元年11月15日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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