ベトナムの畜産物の輸出額が好調に推移(ベトナム)
ベトナム農業・農村開発省(MARD)の統計によると、2019年1〜9月の畜産物の輸出額は、前年同期比5.3%増の5億1351万米ドル(約565億円、1ドル=110円)となった(図1)。品目別にみると、豚肉が同57.4%増の5034万米ドル(約55億円)、牛肉が同35.1%減の158万米ドル(約2億円)、家きん肉が同2.4%減の2179万米ドル(約24億円)となった。
ベトナム国内では、ASF(アフリカ豚コレラ)の発生に伴い、豚肉の生産量の約8%に相当に相当する豚が殺処分されているものの、輸出額は依然として、前年同期比を大幅に上回って推移している。
ベトナムは2017年に日本に向けて鶏肉調製品の輸出を開始して以来、日本におけるベトナム産の鶏肉調製品の輸入量は増加傾向で推移しており、2019年度上半期の輸入量は1014トン(前年同期比171%)となった(図2)。
現地報道によると、MARDの副大臣は「日本への輸出がベトナム産鶏肉の評価を高めている」としている。
一方で、MARDの関係者は、ベトナムの畜産業は小規模であること、生産性が低いこと、疾病管理が適切でないこと、農場からと畜場や加工場への生産チェーンの整備がされていないことなど数々の問題も抱えているとしており、MARDが定めた「2020年〜2030年の畜産業開発戦略」では、家畜(豚、家きん、肉牛、乳牛)の繁殖に注力することで畜産業の潜在能力を引き出し、輸出市場を拡大すると述べている。なお、同戦略の中で、畜産業の年間平均成長率を2020〜2025年に4〜5%、2026〜2030年では3〜4%に設定し、農家の大規模化や近代化が進めるとしている。さらに、今回設定された目標を実現し、家畜衛生、食品の安全性、環境保護を確保するため、業界はと畜場および加工場を再編成する必要があるとしている。
また、2018年11月に採択され、2020年1月1日に施行される動物飼育法は、家畜の飼育条件、家畜の人道的な取扱い、畜産物の加工と市場に関する規則などが定められるが、この法律は結果として、畜産物の輸出を増加させるとも話している。
【小林 智也 令和元年11月15日発】
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