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糖類を多く含む飲料の販売、規制強化へ(シンガポール)

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最終更新日:2019年11月15日

 シンガポール保健省によると、糖尿病の治療に係る公的支出は年々膨らみ続けており、2017年度には9億シンガポール・ドル(約729億円(注1))を超え、同省の歳出予算全体の11%を占めるに至った。

 同国政府は、糖尿病患者数の増加(注2)の要因を、食生活の乱れや運動不足、喫煙などに加え、糖類を含む飲料の消費量の多さも影響していると見ている。このため、生活習慣の改善を国民運動として推進すべく、「糖尿病との闘い(War on Diabetes)」というスローガンの下、糖類を含む飲料の販売を規制する動きを強めている。

 同国政府は、2017年に国内の主要飲料メーカーとの間で糖類を含む飲料の糖類含有量を2020年までに100ミリリットル当たり12グラム以下にすることで合意したほか、2018年から学校や政府機関の施設の食堂、売店、自動販売機などで糖類を多く含む飲料の販売を禁止している。そして、2019年10月には、砂糖を多く含む飲料について商業広告の全面禁止と、缶やペットボトルなどの外装に健康的な食品でない旨の警告ラベルを表示することを飲料メーカーに義務付ける方針を打ち出した。実施されれば世界で初の試みとなる。

 11月14日の世界糖尿病デーに合わせ国際糖尿病連合(IDF〈International Diabetes Federation〉)が発行した「糖尿病アトラス(第9版 2019年)」によると、2019年現在のシンガポールにおける20〜79歳の糖尿病有病率は14.2%と2年前と比べ0.5ポイント上昇し、世界平均より4.3ポイント高かった(図)。現段階で「糖尿病との闘い」を通じた政策の効果はあまり見られないものの、同国のリー・シェンロン首相は、政策上の優先事項の一つに糖尿病対策を挙げており、「長期的な視点で取り組む必要がある」との認識も示していることから、飲料メーカーを取り巻くビジネス環境は当分の間、厳しい状況が続くと思われる。

(注1)為替レートは2019年10月末TTS相場であり、1シンガポール・ドル=81円(80.84円)である。
(注2)主に2型糖尿病。
図 シンガポールと主な砂糖生産国の糖尿病有病率の比較
【坂上 大樹 令和元年11月15日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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