中国では、非常時の供給と価格安定を目的に豚肉の備蓄(注)が行われている。ASFなどの影響で豚肉価格が高騰したため、2019年9月以降複数回にわたり、中央および地方政府が備蓄豚肉を市場に放出している(表)。
(注)豚肉備蓄制度については、畜産の情報2016年6月号「最近の中国の豚肉需給動向」P.79を参照されたい。
豚肉小売価格は、2019年9月の備蓄豚肉放出後も上昇を続け、同年11月第1週には、1キログラム当たり58.71元(933円、1元=15.9円)となった。その後、同年10月に繁殖雌豚の飼養頭数が増加に転じたこと、国慶節(10月1〜7日)需要が落ち着いたことなどから下降傾向にあったものの、元旦および春節(2020年1月24〜30日)に向けてベーコン・ソーセージなど中国式の自家用豚肉加工品の生産が始まったことなどから、横ばいに転じている(図)。
中央政府は、今後も継続的に備蓄を放出するなどの豚肉の安定供給を強調しているが、現地報道によると春節が終わるまではこのまま高値が続くとの見方もある。
写真1 春節用ベーコン。湖南省産 1キログラム100元(約1600円)
写真2 春節用ソーセージ。四川省産 1キログラム76元(約1200円)