ギリシャで、ASF(アフリカ豚熱)が初発
国際獣疫事務局(OIE)は2月6日、ギリシャで、1例目のASF(アフリカ豚熱)の発生が確認されたと発表した。
OIEによると、発生は、同国北部のセレ(Serres)の農家(裏庭養豚)で確認された。ASFに関するEUのリファレンスラボラトリー(注)であるギリシャのAthens Veterinary Centerの検査で、死亡した肥育豚1頭が陽性と診断され、同農家に飼養されていた31頭の豚が殺処分された。なお、現時点では、感染源については判明していない。
今回発生したのは、豚および野生イノシシで発生が確認されているブルガリアの国境近くである。
現地報道などによると、発生が確認された養豚場から3キロメートルの範囲にあるすべての豚が処分され、感染源を特定するための検査が行われている間は、半径10キロメートル以内のエリアへの動物の出入りが禁止されるとのことである。また、政府は、セレからのすべての豚由来の製品(食肉、食品、精液や卵子)や関連する廃棄物などの搬出と、生きた豚の地域外への移動を禁止するといった、ASFの拡大を防止するための措置を発表したと報道されている。
注:特定の家畜疾病に関して指定される検査・研究所
ギリシャでの発生が確認される以前の1月30日、欧州食品安全機関(EFSA) は、EUにおけるASFに関する年次報告書(報告書の対象期間は2018年11月〜2019年10月)を公表した。
報告書の公表に際し、EFSAは、ASFに関する国ごとの状況は、国ごとの豚の生産構造(特に裏庭養豚の割合)、地理的条件、野生イノシシの個体群の特性といったさまざまな要因により、加盟国間で大きく異なるとしている。また、販売目的ではない裏庭養豚については、ASFの撲滅に向けて、豚や人間の行動の管理の不徹底、不十分なバイオセキュリティ、飼養施設の特定といった特有の課題があるとしている。
【前田 絵梨 令和2年2月14日発】
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