米国農務省による世界のトウモロコシ・大豆需給予測(2020年3月)
2019/20年度世界のトウモロコシ生産量予測、南アフリカが上方修正
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2020年3月10日、「Grain:World Markets and Trade」において世界のトウモロコシ需給予測値を更新した。
今回の予測では、2019/20年度の世界のトウモロコシ生産量は、南アフリカが12月から2月に十分な降雨に恵まれ作付けが順調であったことから前回より150万トン上方修正され、インド、ペルーおよびロシアが下方修正されたものの、全体で42万トン上方修正された。世界計では米国、メキシコなどが減少し、前年度比1.0%減の11億1201万トンと予測されている(表1)。
輸出量は、生産量が増加する南アフリカや海外からの需要に対応してウクライナ、アルゼンチンなどが前回より上方修正される一方、ロシア、ブラジル、カナダなどが下方修正され、全体で55万トン上方修正された。世界計では同0.9%増の1億7351万トンと予測されている。
輸入量は、飼料向け需要の強いカナダや生産量の少なかったペルーが前回より上方修正されている。
消費量は、ブラジル、カナダなどが前回より上方修正され、世界計では同0.8%減の11億3547万トンと予測されている。
期末在庫は、南アフリカやカナダをはじめ全体で51万トン上方修正され、世界計では中国、米国などで在庫の取り崩しが進み、同7.3%減の2億9734万トンと予測されている。
2019/20年度世界の大豆期末在庫量予測、1億トン台に上方修正
USDA/FASは2020年3月10日、「Oilseeds:World Markets and Trade」を公表し、世界の大豆需給予測値を更新した。
今回の予測では、2019/20年度の世界の大豆生産量は、アルゼンチンのほか,1月から収穫が始まっているブラジルが北東部州やリオグランデ・ド・ソル州南部を除く主要生産地で平均以上の単収となることから、全体で236万トン上方修正された。世界計では前年度比4.7%減と前回より0.7ポイント減少率が縮小し、3億4176万トンと予測されている(表2)。
輸出量は、全体で38万トン上方修正され、世界計では同2.4%増の1億5188万トンと予測されている。
輸入量は、全体で5万トン下方修正され、世界計では、同3.7%増の1億5075万トンと予測されている。
消費量(搾油仕向け)は、大豆かす生産が減少したアルゼンチンが前回より100万トン下方修正され、世界計では同2.0%増の3億345万トンと予測されている。
期末在庫は、アルゼンチンやブラジルがそれぞれ200万トン、106トン上方修正され、全体で358万トン上方修正された。世界計では、米国などで取り崩しが進むことなどから、同8.4%減の1億244万トンとなるが、前月より減少率が2.7ポイント縮小し1億トン台に乗ると予測されている。
2019/20年度米国のトウモロコシ需給予測、生産者平均販売価格を下方修正
米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は2020年3月10日、2019/20年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給見通しを公表した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは次の通りである。
生産量は、前回予測と修正なく、単収の減少などにより前年度比4.5%減の136億9200万ブッシェル(3億4778万トン(注))と予測されている(表3)。
消費量は、前回と変わらず、飼料等向けを中心に増加し、同1.0%増の123億4500万ブッシェル(3億1356万トン)と予測されている。
輸出量は、積荷のペースが遅いことから前回まで下方修正されていたが、今回は前回と変わらず、同16.5%減の17億2500万ブッシェル(4382万トン)と予測されている。
期末在庫は、前回と変わらず、生産量の減少等を反映して、前年度比14.8%減の18億9200万ブッシェル(4806万トン)と予測されている。
また、生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり0.05米ドル(1キログラム当たり0.2円:1米ドル=110円)下方修正され、同3.80米ドル(1キログラム当たり16.7円)と予測されている。
(注)1ブッシェルを25.4キログラムとしてALICが換算。
【井田 俊二 令和2年3月17日発】
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