製糖関係団体、新型コロナウイルスの大流行を受けて欧州委員会に特別な措置を要請(EU)
最終更新日:2020年3月30日
欧州てん菜生産者連盟、欧州砂糖実需者委員会、欧州食品・農業・旅行労働組合連合(以下これらを総称して「製糖関係団体」という)は3月20日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行によって今後数週間から数カ月の間にEUの砂糖産業が受ける可能性のある悪影響を緩和するため、欧州委員会に対し特別な措置の検討を求める声明を発表した。
製糖関係団体は、EUで同感染症が流行する中、てん菜農家は営農活動を続けており、EU域内の食品供給に貢献していることを強調した。また、衛生用品の需要急増を受けて、製糖業者における消毒用アルコールの生産は万全の体制で対応していることを表明した。
一方、同感染症の大流行が引き金となってEU域内の砂糖価格が下落し、製糖業者や農家、EUの砂糖産業に関わる約48万人の雇用が深刻な脅威にさらされていると訴えた。
砂糖の国際価格は2月中旬、砂糖の世界的な供給過剰が解消に向かうとの期待から2年9カ月ぶりに1ポンド当たり15セント台後半の値を付けた(図)。しかしその後は、新型コロナウイルス感染症の大流行による世界的な経済活動の減速が懸念されたことが一因となり、原油やレアルの相場が下落した。これに伴い、世界最大の砂糖生産国のブラジルが砂糖増産に転じる可能性を示唆したことを受け、砂糖の国際価格はわずか1カ月で20%以上値下がりし、今後も低迷が続く可能性がある。
国際価格が下落するとEU域内に安価な輸入品が流入するため、砂糖価格やてん菜の買い取り価格が下落する。製糖関係団体は欧州委員会に対し、同感染症による砂糖産業への影響を最小限に抑えるため、砂糖の民間在庫補助や砂糖のセーフガード措置などを講ずるよう求めた。
また、砂糖は生活する上で必要不可欠な食品であることから、加盟国と連携してEU域内の物流網を最大限に維持するよう強く要請した。
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