欧州委員会は3月31日、欧州連合(EU)
(注)における児童生徒の健康的な食生活を支援するため、2020/2021年度(8月〜翌7月)の学校給食用果実・野菜・牛乳供給事業に前年度と同額になる2億5000万ユーロ(297億5000万円:1ユーロ=119円)を措置し、各加盟国への配賦額を決定したと発表した。
本事業は、果実、野菜、牛乳・乳製品の供給だけでなく、児童生徒に対する農業への理解醸成、健康的な食生活の促進などの教育プログラムも対象となり、予算額は、果実および野菜に総額1億4500万ユーロ(172億5500万円)、牛乳・乳製品に総額1億500万ユーロ(124億9500万円)となった。各加盟国は、国独自の予算を追加することも可能である。供給される農産品は、環境に配慮して生産されたもの、季節性のあるもの、地元産であることが基本とされている。
欧州委員会のヤヌシュ・ボイチェホフスキ農業・農村開発担当委員は同発表の中で、「児童生徒らは同事業により栄養や農業について学ぶことができ、健康的な食習慣も身につけることができる」とした。また、「今年度(2019/2020年度)については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により休校が余儀なくされたことを考慮すべく、対策を講じてある」とした。
欧州委員会は、EU全域での休校の影響に配慮し、学校へ供給されなかった果実、野菜、牛乳・乳製品についても、支払いを行う事は可能とした。供給されなかった青果物・乳製品は、病院、慈善団体、フードバンクなどに寄付することが認められている。
欧州委員会はまた同日、2018/2019年度の同事業の報告書も併せて発表した。それによると、同年度の同事業には、約15万5000校が参加し、2000万人以上の児童生徒が対象となっている。なお、EU予算の1億9200万ユーロ(228億4800万円)により、合計で7万1000キログラムの新鮮な果実と野菜、16万7000キロリットルの牛乳がEUの児童生徒らに供給された。
注:2020/2021年度予算には英国が含まれる。英国は、2020年2月1日にEUを離脱したものの移行期間中にあり、EU法が2020年12月31日まで適用される。
多くの加盟国で供給されたものとして、生鮮野菜ではにんじん(25か国)、トマト(22か国)、きゅうり(19か国)、乳製品は飲用乳(乳糖を除去したものを含む。28か国)、プレーンヨーグルト(19か国)、チーズ類(15か国)であった。数量ベースでは、飲用乳が167,858キロリットル、プレーンヨーグルトが9,457トン、チーズ類が2,116トン供給された。
【参考:新型コロナウイルス関連情報】
・欧州委員会、新型コロナウイルス感染拡大に対応する農業・食品部門を引き続き支援(海外情報(令和2年4月8日発))
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002669.html
・製糖関係団体、新型コロナウイルスの大流行を受けて欧州委員会に特別な措置を要請(EU)(海外情報(令和2年3月30日発))
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002657.html
・欧州生鮮野菜生産協会、新型コロナウイルス発生下で供給力強化を推進(海外情報(令和2年3月27日発))
https://www.alic.go.jp/chosa-y/joho02_000258.html
・欧州飼料産業団体、新型コロナウイルス発生に対応した飼料の安定供給に関する緊急措置を欧州委員会に要請(令和2年3月27日)
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002655.html
・欧州委員会、新型コロナウイルスの感染拡大に対し、食品流通を含む国境管理措置に関するガイドラインを公表。欧州食品安全機関、食品を介した感染の証拠はないと報告(海外情報(令和2年3月19日発))
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002646.html
・ドイツ政府機関、食品を介した新型コロナウイルス感染の証拠はないと報告(令和2年3月10日発))
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002666.html