新型コロナウイルス感染症の発生が、コーンスターチ生産に一時的な影響を与える(中国)
最終更新日:2020年4月16日
中国はコーンスターチの最大の生産国であり、かつ世界の需要の3分の2を占めている。同国のコーンスターチの生産量は山東省が最も多く、次いで吉林省、河北省と大消費地である首都北京市近郊での生産が過半を占めている(図1)。中国でん粉産業協会(注)などによると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて、同国のコーンスターチの生産は一時的に落ち込んだものの、2月中旬を底に回復傾向にある。
中国におけるコーンスターチ製造工場の通年の平均稼働率は約60%である。ただし、春節を迎える1月下旬から2月上旬までの間は一時的に操業を停止する工場があるため、同時期の稼働率は50%程度まで低下する。
2020年は、春節休暇が明けても操業を再開できない工場が相次ぎ、2月中旬の稼働率は約30%まで大きく落ち込んだ(図2)。これは、COVID-19の拡大を防止するためにヒト・モノの移動が厳しく制限されたことで、工場従業員の復帰や原料となるトウモロコシの調達が困難となったことが要因である。
こうした国内産業の影響を踏まえ、各省政府は移動制限の緩和などの策を講じた。その結果、コーンスターチ製造工場においても、職場への復帰やトウモロコシの安定的な調達が可能となり、2月末の稼働率は約50%と、春節期間と同程度まで回復した。その後も多くの工場が操業を再開し、3月末の稼働率は約63%と、前年同期と同程度の稼働率となっている。
(注)中国でん粉産業協会(China Starch Industry Association)は同国ででん粉、化工でん粉、糖化製品を製造している企業で構成された団体。
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