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2019/20年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第7回)を公表(ブラジル)

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 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は4月9日、2019/20年度(10月〜翌9月)第7回目となる主要穀物の生産状況等調査結果の要約版を、同17日に州ごとの細かい分析を加えた完全版を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2作・第3作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。これによると、穀物合計では作付面積、単収がともに前年度を上回ることから、生産量も前年度を上回ると見込まれている(表1)。
 品目別にみると、トウモロコシの生産量は、第1〜3作トウモロコシの単収がいずれも減少するものの、作付面積が前年度を上回ることから、過去最高の1億187万トン(前年度比1.8%増)となる見込みとなった(図1)。また、大豆の生産量は、南部のリオグランデドスル州での干ばつの影響により前回公表(同8.0%増)から下方修正されたものの、作付面積および単収の増加が続いていることから、1億2206万トン(同6.1%増)と過去最高の見込みとなった(図2)。なお、ブラジルでも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大しており、一部の地域(ゴイアス州)で穀物輸送の遅れが起こっているものの、全体的にはほとんど影響はないとされている。
表1
図1
図2
(参考)2019/20年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第6回)を公表(ブラジル)
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002654.html
地図

トウモロコシ生産量は前回公表から上方修正され、過去最高の見込み

第1作はリオグランデドスルの干ばつの影響により、さらに下方修正

 第1作トウモロコシの生産量は、国内外からの堅調な需要により作付面積は増加しているものの、前年度比1.5%減の2527万トンと見込まれている(表2)。主要生産州(上位5州)の生産量をみると、同6.4%減と前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。これは、近年、第1作の最大生産州であった南部のリオグランデドスル州において、昨年12月以降に発生した干ばつの影響が大きかったことから、単収が大幅に減少するためである。この干ばつの影響は前回公表よりも大きくなっており、今年度はリオグランデドスル州に代わりミナスジェライス州が最大生産州になる見通しとなっている。また、同じ南部でもパラナ州では、天候が良好であったため単収は前年をかなり大きく上回ることから、生産量は同9.2%増の見通しとなっている。一方、中西部のゴイアス州では、作付面積、単収共に前年を上回ることから、生産量は同10.7%増の見込みとなっているものの、まだ収穫が始まっていないため前回公表から変わっていない。
表2

第2作の生産量は上方修正、第3作は減少見込みも今後の天候により大きく変動の可能性

 第2作トウモロコシの生産量は、前年度比3.1%増の7544万トンと見込まれている(表3)。最大生産州のマットグロッソ州では、作付面積がかなりの程度増加するため、生産量も10.0%増となる見通しとなった。国内外からの堅調な需要により作付面積を増やす農家が多く、ミナスジェライス州でも生産量は同5.3%増の309万トンと前回公表(前年度比17.4%減)から大きく上方修正された。また、ゴイアス州では、降雨量はやや少ないものの、生育は順調であることから、単収が大きく上方修正されたため、生産量も同1.4%減にとどまる見通しとなっている。ただし、第2作はほとんどの地域でまだ作付けが終わったばかりであることから、今後の天候次第で大きく変動する可能性もある。
表3

マトピバ地域の生産量は前年をわずかに上回る

 北東部に位置する新興農業開発地域のマトピバ地域(同地域の生産量はブラジル全体の生産量の約7%を占める)におけるトウモロコシ生産量は、前年度比11.1%増の718万トンと見込まれている(表4)。国内外からの堅調な需要により、いずれの地域でも作付面積が前年度を上回る見込みとなった。また、ピアウイ州では、天候が良好なことから単収が上方修正されたため、生産量は同12.8%増と前年度をかなり大きく上回る見通しとなった。
表4
参考1

大豆生産量は前回公表から下方修正されたものの、過去最高の見込み

 大豆は、堅調な相場により生産者の作付意欲が高く、作付面積の増加傾向が続く見通しであることや、天候も比較的良く、単収も増加する見通しとなったことから、前年度比6.1%増の1億2206万トンと過去最大の生産量が見込まれている(表5)。
 最大生産州のマットグロッソ州では、良好な天候や栽培技術の向上により、単収が上方修正されており、生産量は同7.5%増の見込みとなった。一方、南部のリオグランデドスル州では干ばつの影響が大きかったことから、単収がさらに下方修正されており、生産量は同30.5%減と見込まれている。  
表5

マトピバ地域では前年度比7.6%増の見込み

 マトピバ地域の大豆生産量(同地域の生産量はブラジル全体の生産量の約12%を占める)は、前年度比7.6%増の1450万トンと見込まれている(表6)。生育期間中は比較的天候が良かったことから単収は上方修正されたものの、収穫期において多雨の影響があり、収穫が遅れている地域もある。
表6
参考2
参考
【山口 真功 令和2年4月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9472