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2020年
> 食肉・食鳥処理場の操業維持に関する大統領令に基づき、米農務省が対応を講じる(米国)
食肉・食鳥処理場の操業維持に関する大統領令に基づき、米農務省が対応を講じる(米国)
4月28日、トランプ大統領が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する国家非常事態宣言が適用されている間において、国防生産法に基づき、米国民にたんぱく質を供給し続けるために、牛肉、豚肉、鶏肉の食肉および家きん肉処理場(以下、「処理場」という)が操業を続けることを命じる大統領令に署名した(下記参考リンク先参照)。
当大統領令により、米農務省(USDA)のパーデュー農務長官は食肉処理場の操業維持に係る権限を大統領から委任されたため、パーデュー長官は5月5日夜、2通の書簡を全米各知事および大手食肉企業の首脳陣宛てに発出した。
これらの書簡において、パーデュー農務長官は、以下のことを求めており、必要に応じて追加の対策を講じるとしている。
・4月26日に保健福祉省の疾病対策予防センター(CDC)と労働省の労働安全衛生庁(OSHA)によって公表された、従業員と地域のコミュニティの健康を確保しながら、操業継続や操業再開を行うための、処理場における衛生対策に関するガイダンス(以下「CDC / OSHAガイダンス」という)の遵守。
・今後、操業の縮小を検討、または5月1日(金)以降に閉鎖した処理場で、短期間での操業再開に向けた明確なスケジュールが準備できていない処理場は、CDC / OSHAガイダンスに基づいて作成された操業、衛生、安全に関する実施手順の文書をUSDAへ提出すること。
・処理場は、適切な衛生対策を実施した後、できるだけ早く操業を再開すること。USDAは、引き続き、処理場、CDC、OSHA、州および地方の担当者と協力して、処理場がCDC / OSHAガイダンスに沿って衛生対策が実施されているかどうかを確認するとしている。
パーデュー長官は、上記の書簡を発出した旨を公表した翌5月6日付けのUSDAのプレスリリースにおいて、「USDAは、州と地方の当局者が食肉処理場と協力し、従業員の健康を守りながら処理場の操業を維持することを期待している。食肉処理場は重要なインフラであり、米国の国家安全保障にとって不可欠なものである。これらの施設の操業を維持することは食料サプライチェーンにとって非常に重要であり、関係者が協力してこの問題に対処することを期待している。」と述べた。
今回の大統領令は、従業員に対する感染防止対策が確実に実施されることを要請するものであり、食肉の生産能力の回復効果を疑問視する見方もある。一方、USDAが大統領令に基づき、処理場の再開に積極的に関与し、再開までの基準が統一化されることで、処理場の再開が進み、処理場の生産能力は現状から回復に向かうとの声もある。パーデュー長官によると、徐々に処理場の再開は進んでおり、5月中旬頃には通常の生産能力に近い水準まで戻るとのことである。
一方で、CDC/OSHAガイダンスにおいては、処理場内でのCOVID-19感染防止対策として、作業中の従業員同士の間隔を約1.8m以上(社会的距離)開けることや、対面で作業しないこと、必要に応じて仕切りを設けること、休憩時間中も従業員同士が社会的距離を保つこと、社会的距離を保つための印などの視覚的補助、従業員が一度に集まらないようシフト制の導入検討、通勤用バスの時差出勤、消毒の徹底、個人防護具の着用など、様々な衛生対策が求められている。これらを実施することによって、COVID-19発生前の食肉生産能力を維持できなくなる懸念や、労働力不足による懸念もあり、今後の動向が注目される。
海外情報 トランプ大統領、食肉・食鳥処理場の操業継続を命じる大統領令を発出(米国)
図 CDC/OSHAが推奨する処理場の作業イメージ
上から順に
・悪い事例
従業員同士が、横、対面共に、6フィート(1.8メートル)よりも狭い間隔で作業
・良い事例
従業員同士が向かい合わない、かつ、6フィート(1.8メートル)よりも広い間隔で作業
・良い事例
従業員同士が向かい合わない、かつ、パーテーションで区切られた状態で作業
・良い事例
従業員同士が、横、対面共に、パーテーションで区切られた状態で作業
(同時に作業を行う必要がある場合を含む)
出典:CDC / OSHAガイダンス
【国際調査グループ 令和2年5月13日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Fax:03-3583-9805
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