上記動向には地域差があり、その中でもとりわけ対照的な動きを見せているのが内陸部に位置するマットグロッソ州である(
図)。ブラジル最大のトウモロコシの生産地である同州は、同国では珍しくトウモロコシ由来のバイオエタノールの生産が盛んで、今年度のバイオエタノール生産量は前年度と比べ28.0%増加すると見込まれている。これは、余剰トウモロコシの有効活用という観点に加え、バイオエタノールの生産工程で発生する蒸留かす(DDGS)が飼料として大きな収益を生み出すと期待されていることから、同州ではバイオエタノール工場の建設ラッシュが続いており、こうした状況を反映した格好となった。
その一方、現地報道によると、トウモロコシ由来のバイオエタノールを製造する業者などが加盟するブラジルトウモロコシエタノール協会(UNEM)は、COVID-19の拡大による影響で国内のバイオエタノール需要が急激に減退しているとし、各社はこれまでのトウモロコシの調達計画を見直さざるを得なくなるとの見方を示しており、今後、バイオエタノールの増産見込みに影響が生じることが想定される。なお、こうした状況は今回のCONABの見通しに織り込まれていないものとみられる。