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2020/21年度の砂糖・バイオエタノールの生産見通し(ブラジル)〜新型コロナウイルス感染症の拡大により砂糖の増産に傾く

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最終更新日:2020年5月14日

2020/21年度、砂糖は増産の一方、バイオエタノールは減産の見込み

 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は5月5日、2020/21年度(4月〜翌3月)の砂糖とバイオエタノールの生産見通しを公表した()。

 サトウキビの生産量は6億3071万トン(前年度比1.9%減)とわずかに減少するものの、製糖業者の多くが砂糖の増産に舵を切り始めていることから、砂糖生産量は前年度と比べ18.5%増の3530万トンと見込まれている。この影響で、バイオエタノール生産量は前年度と比べ10.3%減の320億リットルと見込まれている。CONABはその要因を、「今年度はタイやインドなど主要国の砂糖輸出の落ち込みを補完する役割が期待されている他(注)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による工場の生産停止や航空会社の運休・減便などを背景にバイオエタノール需要が低下している中にあっては、必然的に砂糖の増産に傾く」と分析している。

(注)タイは他作物への転作や干ばつによる影響、インドは主産地の浸水被害などに伴う生育不良などによる影響でそれぞれ減産が見込まれている。なお、主要国の直近の砂糖輸出の見通しは、「砂糖の国際需給」『砂糖類・でん粉情報』2020年5月号を参照ください。
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002206.html

工場の建設ラッシュ続くマットグロッソ州、バイオエタノール増産か

 上記動向には地域差があり、その中でもとりわけ対照的な動きを見せているのが内陸部に位置するマットグロッソ州である()。ブラジル最大のトウモロコシの生産地である同州は、同国では珍しくトウモロコシ由来のバイオエタノールの生産が盛んで、今年度のバイオエタノール生産量は前年度と比べ28.0%増加すると見込まれている。これは、余剰トウモロコシの有効活用という観点に加え、バイオエタノールの生産工程で発生する蒸留かす(DDGS)が飼料として大きな収益を生み出すと期待されていることから、同州ではバイオエタノール工場の建設ラッシュが続いており、こうした状況を反映した格好となった。

 その一方、現地報道によると、トウモロコシ由来のバイオエタノールを製造する業者などが加盟するブラジルトウモロコシエタノール協会(UNEM)は、COVID-19の拡大による影響で国内のバイオエタノール需要が急激に減退しているとし、各社はこれまでのトウモロコシの調達計画を見直さざるを得なくなるとの見方を示しており、今後、バイオエタノールの増産見込みに影響が生じることが想定される。なお、こうした状況は今回のCONABの見通しに織り込まれていないものとみられる。
表 サトウキビ、砂糖およびバイオエタノールの生産見通し
図 ブラジルの各州の位置
【坂上 大樹 令和2年5月14日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4396