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中国農業展望報告(2020−2029)を発表(飼料編)(中国)

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 中国農業農村部は2020年4月20日、中国農業展望大会を開催し、今後10年間の農業を展望する「中国農業展望報告(2020−2029)」を発表した。同大会は2014年から毎年開催されており、今回は2019年の総括と2029年までの農畜水産物の生産量や消費量の見通しが報告された。本稿ではこの中の飼料について紹介する。

2019年の動向

 総生産量は前年比3.7%減の2億2885万トン、総消費量は同4.8%減の2億2636万トンであった(図)。2018年まで最大のシェアを占めていた豚用飼料の消費量はASF(アフリカ豚熱)の影響により前年比26.6%減の7651万トンとなった一方、豚肉の代替として増産された肉用家きん飼料の消費量は同21.5%増の8458万トンとなり、逆転した。
 なお、飼料原料輸入量については、トウモロコシ、大豆、菜種かすは増加し、大麦、こうりゃん、菜種などは減少した(表)。

2020年の動向予測

 2020年の総消費量は、前年比0.4%増の2億2722万トンと予測している。全体量はわずかな増加だが、畜主間の差は大きく、豚用は同7.5%減の7074万トン、肉用家きんは同7.2%増の9070万トンと見込んでいる。また、採卵用家きん、反すう家畜はわずかに増加するが、水産用はわずかに減少する見込みである。
 なお、配合飼料生産量は同0.3%増の2億2086万トン、濃縮飼料は同0.3%減の1238万トン、プレミックスおよび飼料添加物は同2.8%増の558万トンと予測している(注)。

2029年までの動向予測

 飼料消費量は緩やかに増加し、2029年は2億8053万トンと現状の1.2倍程度まで増加すると予測している。このうち、豚用は約1.4倍の1億738万トン、肉用家きんは約1.2倍の9765万トン、反すう家畜は約1.2倍の1272万トンまで増加する見込みである。
 また、配合飼料やプレミックス、飼料添加物の生産量がわずかに増加し、濃縮飼料が減少する傾向が続くと見込んでいる。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)が、生産、価格、輸出入及び消費に与える影響は、それぞれ不確実であるとしている。

(注)「中国の飼料工場で生産されているものには、主に3つの形態がある。一つ目は最終製品の「配合飼料」である。二つ目はタンパク質、ミネラルなどで構成されている「濃縮飼料」であり、「濃縮飼料」1に対してトウモロコシ3の割合で配合することにより「配合飼料」として家畜に給与することができる。三つ目は2種以上の飼料添加剤を混合した「プレミックス」であり、「濃縮飼料」と同様に「配合飼料」の原料として使用する。こうした飼料の形態の詳細と生産量の推移については、畜産の情報2019年12月号「中国の飼料需給をめぐる内外の情勢と今後の見通し」P.100を参照されたい。
図 畜種飼料別消費量の動向と展望
表 飼料原料の輸入動向
【寺西 梨衣 令和2年5月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8534