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中国農業展望報告(2020−2029)を発表(でん粉編)(中国)

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最終更新日:2020年6月9日

 中国農業農村部は2020年4月20日、中国農業展望大会を開催し、今後10年間の農業を展望する「中国農業展望報告(2020−2029)」を発表した。同大会は2014年から毎年開催されており、今回は、2019年の総括と2029年までの農畜水産物の生産量や消費量の見通しが報告された。
 本稿では、中国のでん粉生産の概要ならびに本報告のうち同国産でん粉の主要原料であるトウモロコシの2019年の需給動向および2029年までの需給見通しについて紹介する。

中国のでん粉生産の概要

 現地の調査会社などによると、2018年における中国のでん粉生産量は3009万トン(前年比10.6%増)であった。そのうち、コーンスターチは2815万トンと全体の9割以上を占めており、ばれいしょでん粉は59万トン、タピオカでん粉とかんしょでん粉はそれぞれ26万トン、残りを小麦でん粉などが占めている(図)。なお、でん粉の需要量は3159万トン(同7.8%増)と生産量を上回っている状況である。
図

2019年のトウモロコシの動向

 2019年のトウモロコシ作付面積は4128万ヘクタール(前年比2.0%減)とわずかに減少した(表)。これは2016年、中国国務院が公表した「国務院による全国農業現代化計画(2016〜2020年)」(注1)において、トウモロコシの作付面積の削減目標が示された以降、減少傾向で推移しているもので、一方、生産量は単収の増加を受けて、2億6077万トン(同1.4%増)とわずかに増加した。
 消費量は、生産量を上回る2億7669万トンであり、コーンスターチを含む工業向けは7900万トンであった。
輸入量は、主要輸入相手国であるウクライナのトウモロコシが安価であったことや、旺盛な国内需要を補完すべく、479万トン(同36.1%増)と大幅に増加した。

(注1)中国の内閣に相当する国務院が2016年10月17日に公表したもの。トウモロコシの過剰在庫を改善するために、自給率が低い大豆などへの転作による作付面積の削減(2015年に5.7億ムー(3800万ヘクタール:1ムー≒6.67アール)であった作付面積を、2020年までに5億ムー(3333万ヘクタール)まで減少)が推進された。

2020年および2029年までのトウモロコシの動向予測

 転作は引き続き推進されるものの、生産者においては長年にわたるトウモロコシ生産からの意識転換が進まず、作付面積は2020年に4132万ヘクタール(前年比0.1%増)、2029年には4282万ヘクタールとほぼ現状を維持する(対2019年比3.7%増)と予測されている。    
 生産量は、作付面積の増加に加えて、生産技術の向上が期待されることから、2020年に2億6656万トン(前年比2.2%増)とわずかに増加し(注2)、2029年には3億3819万トンと現状の1.3倍程度の拡大を予測されている。    
 消費量のうちでん粉用途を含む工業向けでは、トウモロコシ加工企業の増加や生産能力の向上を受けて、2020年に8270万トン(同4.7%増)とやや増加し、2029年には9950万トンと現状の1.3倍程度まで拡大すると予測されている。    
 輸入量は、2020年に新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の感染拡大を受けて、425万トン(同11.3%減)とかなり大きく減少すると見込まれるものの、2029年には、関税割当量(注3)を超えないが、過去最大の648万トンまで拡大すると予測されている。

(注2)COVID−19が中国のでん粉生産に与えた影響については、本報告書での言及はない。なお、当該影響については、2020年4月16日付海外情報「新型コロナウイルス感染症の発生が、コーンスターチ生産に一時的な影響を与える(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002675.html)を参照されたい。

(注3)中国のトウモロコシ輸入は関税割当制度の下で行われており、関税率は、割当量720万トンの枠内で1%、枠外で65%(種子用を除く)となっている。
表
【荒川 侑子 令和3年6月17日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
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