外食支出額、2019年は過去最高も2020年2月以降急落(米国)
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が6月2日に公表した「Food Expenditure」によると、2019年の食品支出額(名目ベース、アルコール飲料を除く)は、家庭内食品支出額が7994億米ドル(86兆3352億円:1米ドル=108円)、家庭外食品(外食)支出額が9694億米ドル(104兆6952億円)といずれも前年を上回り、過去最高を更新し続けている(図1)。また、物価変動を考慮した実質ベースでも、緩やかながら同様の傾向で推移している。
2019年の家庭内食品支出額(実質ベース)を業態別に見ると、最も割合の多い「食料品店」は、5年前の2014年と比べて12.6%増加し、全体に占める割合は58%(2014年と同水準)となった(図2)。次いで割合の多い「会員制大型ディスカウントストア、スーパーセンター※」は、2014年比で13.6%増加し、全体に占める割合は22%(2014年と同水準)となった。なお、「通販・宅配」は、全体に占める割合が3%と小さいものの、2014年比で36.0%増と増加率が最も高かった。
※非食品のディスカウントストアに食品スーパーやドラッグストア等を組み合わせた大型店舗
2019年の家庭外食品支出額を業態別に見ると、ファストフード店などの「注文・支払がレジカウンターやドライブスルーで行われる飲食店」は、5年前の2014年と比べて24.7%増加し、全体に占める割合は39%(2014年比4ポイント増)となり、最も割合の多い業態となった(図3)。次いで割合の多い「完全なテーブルサービスを提供するレストラン」は、2014年比で9.2%増加したものの、全体に占める割合は35%(同1ポイント減)となり、2番目に多い業態に順位を落とした。
直近の月別食品支出額(名目ベース)を見ると、2020年1月まではほとんどの月で「家庭外」が「家庭内」を上回っており、外食比率(食品総支出額のうち家庭外食品支出額が占める割合)は50%台前半で推移してきた(図4)。
米国では他国と同様、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で各州において外出制限の動きが広がったことなどから、2月および3月の「家庭内」の支出額は対前年同月比でそれぞれ7%増、20%増となったものの、「家庭外」の支出額がそれぞれ37%減、50%減と大幅に落ち込んだことから、全体の支出額もそれぞれ16%減少した。この結果、2月の外食比率は38%(前年同月比14ポイント減)、3月は31%(同21ポイント減)となった。5月以降、外出制限を緩和する動きが出てきており、「家庭外」がどの程度の期間でどこまで回復するのか、今後の動向が注視される。
【河村 侑紀 令和2年6月9日発】
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