2019年の有機農産物の輸入量の伸びは前年比0.4%増と無視できる程度
欧州委員会は6月3日、2019年のEU(英国を含む)における有機(オーガニック)農産物の輸入量は324万トンで、2018年から0.4%増と無視できる程度のわずかな増加であったと発表した。また、EUの農産物の輸入量に占める有機農産物の割合は、約2%であった。
2019年の有機農産物の輸入は、穀物や大豆を除く油糧種子(ヒマワリなど)が減少したものの、熱帯果物、油かす、大豆および砂糖の増加によって埋め合わせがされた。主要輸入先国にも変化がみられ、コロンビアとカザフスタンが上位10カ国に入った(表)。なお、EU内での主要輸入国はオランダ、英国、ドイツである。
部門別にみると、野菜・果物部門の輸入量は、前年比8.0%増の135万2000トン(全輸入量のうち42%)となった。野菜(生鮮・乾燥)では、乾燥まめ、ばれいしょ、たまねぎ等が主要な品目で、特にたまねぎ等は前年比115.5%増と大幅に増加している。なお、有機野菜の主要輸入先国は、エジプト、イスラエル、トルコである。
畜産物部門の輸入量は、前年比1.3%減の1万8823トンであった。畜産物の輸入量のうち、95%以上がはちみつで占められており、その他の品目では、牛肉が前年比27.1%減の486トン、羊・山羊肉が前年比46.3%減の71トンとなった。なお、牛肉の主要輸入先国は、ウルグアイである。
EUによれば、2017年の有機製品の小売売上高は343億ユーロ(4兆1846億円、1ユーロ=122円)に達している。また、2018年のEUにおける有機農業の取組面積も6年前の2012年と比較して34%増加し、1340万ヘクタールとなっている(注)。
一方で、輸入品は、EUでの生産に適していない商品や需要に供給が追い付かない商品を供給する等により、消費者の選択を増やすなど重要な役割を果たしている。
有機農産物の市場はまだ成熟しておらず、さらなる成長が期待されている。
【小林 智也 令和2年6月9日発】
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