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EU・ベトナム自由貿易協定、8月1日に発効

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 EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)が、約8年間の交渉の末、2020年8月1日に発効した。欧州委員会のプレスリリースによると、今回の協定はEUが発展途上国と締結した最も包括的な貿易協定であり、関税の削減、SPS措置を含む非関税障壁の解決、地理的表示(GI)の保護、政府調達・サービス市場の開放などが含まれている。
 フィル・ホーガン貿易担当委員は、「ベトナムは、二国間の貿易協定の下でEUと貿易を行う77カ国のうちの一員となる。今回の協定は、EUと、活力に満ちた東南アジア地域との経済関係を強化するものであり、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の危機以降の復興に資するだけの経済的な潜在力を有している。また、妥結に至るまでの貿易交渉によって、ベトナムの労働者権利の保護に関して改善が見られたことは、貿易政策が如何に経済を良い方向へ導く力となりうるかを示すものでもある。」とコメントしている。

 なお、農畜産物に関わる主な合意内容については以下の通りである。

<関税削減>

 EVFTAでは、EUからベトナムへの全ての輸出品目の65%の関税が発効と同時に撤廃となり、残りは10年間で徐々に関税が引き下げられ、最終的には全ての輸出品目の関税の99%が撤廃される。  今回の発効により撤廃される主な農畜産物の関税率と撤廃までの期間は表1のとおりである。
表1

<地理的表示(GI)の保護>

 169品目のEU産飲食品の地理的表示が保護されることとなる。この中にはパルミジャーノ・レッジャーノやフェタといったチーズや、ティローラー・シュペック(オーストリアのベーコン)やシュヴァルツヴェルダー・シンケン(ドイツのハム)といった食肉加工品などが含まれており、この協定により将来的には新たなGIがリストに追加されていくこととなる。

<関税割当>

 EUは、ベトナムからの輸入によってEUの生産者が影響を受ける品目について関税割当を設定することとなった(表2)。
表2
 欧州委員会によると、ベトナムは、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国ではシンガポールに次ぐ2番目の貿易相手国であり、2019年の貿易額は455億ユーロ(5兆7330億円:1ユーロ=126円)に及ぶ。また、EVFTAは、EUとASEAN加盟国との間で締結した貿易協定としては、シンガポールに次ぐ2番目のものとなり、日本、韓国との既存の協定に加え、EUのアジアとの関わりにおいて重要な節目になるとしている。
【小林 智也 令和2年8月7日発】
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