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北米食肉協会が労働安全衛生庁との連携協定を締結(米国)

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 北米食肉協会(NAMI)(注)と米国労働省労働安全衛生庁(DOL/OSHA)は7月29日、食肉・食鳥処理場や食肉加工施設(以下「処理場」という)などの従業員を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から保護するために有益な情報や指針などを共有するための連携協定を締結した。

(注)食肉・家きん肉業界を代表する団体であり、食肉加工企業や加工処理用機器製造企業など畜産物の生産に関連する企業が加入している。NAMI会員は米国の牛肉、豚肉、羊肉、家きん肉の加工処理の大部分のシェアを占めている。

 本協定により、NAMIおよびOSHAは、NAMI会員、労働現場の安全および衛生対策の専門家、処理場従業員、一般市民に対して、労働安全衛生法に基づく労働者の権利と雇用者の責務を理解し、COVID-19への感染リスクを低減させ従業員の安全を確保するための情報、指針、研修資料を提供することになる。

 本協定で、参加者が協力して達成すべきとされる目標は、以下のとおりである。

・処理場におけるCOVID-19の感染リスクやリスク管理の課題に関する情報を、定期的な遠隔会議やオンライン上の通信手段などを通じて、OSHA職員と業界の安全および衛生対策の専門家の間で共有する。

・COVID-19の伝播リスクへの理解と感染拡大を防ぐための最善措置に関する情報を更新し、それらの情報を業界の雇用者と労働者に対して、印刷物、電子媒体のメディアや支援手段、OSHAおよびNAMI のウェブサイトなどを介して提供する。

・共同フォーラム、座談会、利害関係者との会議、ウェビナーその他の手段を通じて、処理場におけるCOVID-19の感染拡大を防止するためのOSHAが提供する指針や、NAMIが提供する優れた取り組みや効果的な対策について、積極的に現地に出向いて支援を行う。

・COVID-19の感染拡大を防止するために利用可能な資材や優れた取り組みに関するOSHAおよびNAMIが主催する会議、地方で開催される会議およびその他のイベントに参加し、展示や講演を行う。

・NAMIの会員およびその他の業界関係者に対して、OSHAの地方事務所との関係構築を深め、OSHAが承認する州毎の労働安全計画を作成し、OSHAによる現場での相談プログラムを活用して職場の安全と衛生対策を改善し、処理場におけるCOVID-19の感染拡大を防止することを奨励する。

 また、双方の代表者から構成される実行チームは年に1〜2回会合を開き、参加者の責務について議論し、活動状況を共有し、連携協定の目標達成に向けた成果を確認することとされている。

 本協定の締結を受けて、NAMIのジュリー・アンナ・ポッツ会長兼CEOは、「この協定を通じて、われわれはOSHAと協力し、COVID-19の大流行の間およびその後において、処理場で働く従業員の健康と安全を守るための取り組みを共に続けていくことを期待している。これらの従業員は米国に食料を供給するために必要不可欠であり、地域経済において極めて重要な役割を担っている。」と述べている。

 また、OSHAのローレン・スウェット首席副次官補は「米国の食料供給の安全性は、健康な従業員により操業が続けられている処理場に依存している。OSHAとNAMIは協定を結ぶことにより、重要な畜産業界の雇用主が新型コロナウイルスのリスクから従業員を保護するために必要な手段と情報を確実に入手できるよう支援することが可能になる。」と述べている。

 本年4月28日にCOVID-19に関する国家非常事態宣言が適用されている間において、国防生産法(Defense Production Act)に基づき、米国民にたんぱく質を供給し続けるために、処理場は操業を続けることを命じる大統領令が発令された。これにより、処理場は従業員への適切な安全衛生対策を徹底した上で操業しているが、米国におけるCOVID-19終息の兆しが見られない中、本協定による今後の成果が注目される。

【参考:新型コロナウイルス関連情報(米国)】

【調査情報部 令和2年8月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397