ポーランド家きん産業協議会 鳥インフルエンザ終息後の輸出再開に期待
ポーランド家きん産業協議会(注)は8月13日、ポーランドの今シーズンの高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の終息について発表した。
注:ポーランド家きん産業協議会は、同国の家きん産業の発展と近代化などを目的として生産、加工、飼料メーカーなどで構成されている団体。同会の会員で同国の家きん肉生産量の70%、輸出額の90%を占めている。
同国では、2019年12月に東部のルブリン県で今シーズン初めてのHPAIの発生が確認され、その後、2020年3月までの間に9つの州で発生し、何十万羽もの家きんを殺処分した。こうした事態が終息したかに見えたところで今度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が同国のサプライチェーンに打撃を与え、販売の機会が著しく制限された結果、今年の第1四半期の鶏肉生産量は減少し、2020年の始まりは、ポーランドの家きん業界にとって異例の厳しさとなった。
しかし、同協議会は、同国の家きん部門は最も成長している産業の一つであり、毎年欧州の主要生産国としての地位を強化し続け、2019年に31億ユーロ(3906億円、1ユーロ=126円)に達した輸出額の記録を今後も塗り替えると見込んでいる。なお、同国はEU加盟国で最大の鶏肉生産国であり、輸出量は、近年、EU域内、EU域外向けともに増加傾向で推移している(図1、図2)。
同国の鶏肉生産量の50%以上はEU域内外への輸出に仕向けられているが、HPAIにより、EU域外の重要な国への輸出ができなくなった。しかし同協議会では、ここ数カ月の間に日本やシンガポールのような利益の大きいアジア市場に輸出が再開される可能性があるとしている。日本におけるポーランド産家きん肉の輸入量は、ポーランドで2016年12月にHPAIが発生し、2017年8月末までに輸入停止となっていたが、輸入停止措置の解除後は再び輸入量が増加している(図3)。
同協議会の事務局長は、同国の家きんのイメージの向上と、持続的な貿易関係の構築のため、プロモーション活動を継続する予定であるとしている。
HPAIの発生による同国の家きん産業の損失は2016/17年のシーズンに比べて減少しており、その後のバイオセキュリティ規則の整備、香港やウクライナなどで地域主義(※)が認められた成果が出ている一方で、中国、キューバ、南アフリカなどの重要な市場は地域主義を認めていないことから、同協議会は他の関係団体とともに、輸出先国へ地域主義の採用を働きかけていくとしている。
【小林智也 令和2年9月10日発】
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