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コロナ禍の消費者物価指数(2)、牛肉は6月に前年同月比25.1%と急上昇(米国)

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 米国労働省労働統計局(BLS)が毎月公表する消費者物価指数(CPI)(注)のうち肉類・鶏卵は、いずれの品目も卸売価格におおむね連動し、2020年4月以降、前年同月比で大きく上昇している(図1)。特に、牛肉・子牛肉は、卸売価格の一時的な急騰が小売価格に転嫁されたことから、ピーク時の6月は同25.1%の上昇となった。8月は同9.6%の上昇と、上昇率は低下したものの、依然として高水準となっている。また、鶏卵については、米国内外の旺盛な需要などを背景に、長年大きく変動して推移している。

(注)消費者物価指数(CPI)とは、消費者が購入する商品(財やサービス)について、基準年を100とした場合の価格指数のことをいい、物価の変化を総合的かつ客観的に表したものである。なお、本調査は、品目によって基準年が異なることなどから、本稿の本文や図では前年同月比を用いている。
図1
 牛乳・乳製品を見ると、2019年以降、いずれの品目も上昇基調となっている(図2)。2020年4月以降、コロナ禍におけるサプライチェーンの混乱により、乳価や卸売価格の乱高下が見られたものの、CPIの変動は牛肉や鶏卵と比べると小さいものとなった。
図2
 生鮮野菜を見ると、2019年は、栽培面積の減少や好調な需要などにより、多くの品目でおおむね前年を上回って推移した(図3)。2020年4月以降、フライドポテトに生産量の約3分の1が仕向けられるばれいしょや、レタス、トマトなどサンドイッチ、サブメニュー(サラダなどメイン料理に付随する料理)向けなどの外食需要が多い品目は、外出制限に伴う消費低迷が懸念されたが、小売需要が増加したことなどから、上昇基調で推移している。
図3
 砂糖および人工甘味料を見ると、天候不順に伴い、てん菜糖、甘しゃ糖ともに生産量が減少したことなどから、2019年7月以降、前年同月を上回っており、2020年5月には前年同月比9.0%上昇したものの、8月には同6.0%の上昇と、ピーク時と比べて落ち着きつつある(図4)。これは、コロナ禍において、小売需要へのシフトによる小袋の出荷が増加したものの、食品メーカーや外食店への大袋や液糖の大口出荷の減少分を相殺できるほどではなかったことが一因と考えられる。
図4
【河村 侑紀 令和2年9月25日発】
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