中国政府が進めている「一帯一路」政策により、中国の重慶市や四川省成都市と欧州をつなぐ鉄道が整備され、運行本数も拡大している。
この中国―欧州便は、中国の四川省成都市から出発し、中国新疆ウイグル自治区ホルゴス、カザフスタンを経由して、ポーランドのマワシェビチェとポズナンを中継地として、首都のワルシャワ、ドイツ(デュイスブルク、ハンブルク)、イタリア(ミラノ)、スペイン(バルセロナ、マドリッド)、ハンガリー(ブダペスト)、オーストリア(ウィーン)まで到達している(図)。また、ローカル線を介して、その他の地域にも接続することが可能である。
このような中、2020年5月にはロシアのモスクワ周辺の生産地から、重慶市および成都市までの冷凍鶏肉の鉄道による輸入が、また、同年9月には、フィンランドのヘルシンキから重慶市へ冷凍豚肉の輸入も開始された。
現地専門家によると、一般的に、鉄道での輸送コストは船便の2倍である。しかし、船での輸送日数は40日程度であるのに対し、鉄道は14日程度とかなり短縮されるため、今後は鉄道による食肉の輸入が拡大していくと考えられる。
資料:公表情報を基にALICで作成
(参考)欧州から中国への豚肉の輸入動向については、『畜産の情報』9月号海外需給「豚肉生産量は回復の兆しも、輸入量は引き続き増加」(
https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001304.html)を、鶏肉の輸入動向については『畜産の情報』10月号海外需給「鶏肉供給体制は整うも、需要増により輸入量は大幅に増加」(
https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_001343.html)を参照されたい。