ISMA、2020/21年度の砂糖生産予測を発表(インド)
最終更新日:2020年11月2日
インド製糖協会(ISMA)は10月19日、2020/21砂糖年度(10月〜翌9月)の第1回砂糖生産予測を発表した。その概要は以下の通り。
インド全体では、前年度からかなり大きく増加する見込み
ISMAは、砂糖の国内生産量上位3州(図1)のほか、その他の州においても前年度と同程度かそれ以上の増産を予測しており、インド全体では2020/21年度に3302万トン(精製糖換算。以下同じ)の砂糖が生産されると見込んでいる。このうち、サトウキビの搾り汁および糖みつ(Bモラセス(注))の一部が、エタノール生産に仕向けられることによって砂糖200万トン分が削減されることから、最終的な砂糖生産量は約3100万トン(前年度比13.1%増)と見込んでいる。
(注)砂糖の製造工程では、搾り汁を煮詰めて結晶化させる。これを遠心分離機で脱水し、砂糖の結晶と糖みつを分離する。このとき得られた糖みつを Aモラセスと呼び、A モラセスにはまだ砂糖が含まれているので再度煮詰め、脱水する作業を繰り返す。このとき脱水して取り出した糖みつをB モラセス、B モラセスを煮詰めて脱水し、取り出した糖みつをC モラセスと呼ぶ。こうした工程により、各モラセスに含まれる砂糖の量はA>B>Cの順に多く、搾り汁のうち回収可能な砂糖は A モラセスに約 23%、B モラセスに約 10%がそれぞれ残留している。
なお、2020/21 年度の砂糖需給(表)についてISMAは、期首在庫は前年度の1458万トンより少ないものの、砂糖生産量の増加を見込んでいることから、在庫圧縮のために、同年度も600万トン程度を輸出する必要があるとしている。
ウッタル・プラデーシュ州では、前年度からわずかに減少する見込み
砂糖生産量国内第1位であるウッタル・プラデーシュ(UP)州の 2020/21年度におけるサトウキビ作付面積は、231万ヘクタール(前年度比0.6%減)とわずかな減少を見込んでいる。
前年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大抑制のために都市封鎖を含む全国的な移動規制が実施されたことで、州内のグル/カンサリ
(注)製造所が通常より早期に閉鎖され、同製造所に仕向けられる予定であったサトウキビが製糖工場に仕向けられたことで、製糖割合が高まり、50万トンの増産となった。しかし、2020/21年度においては、同製造所の操業が通常に戻り、搬入されるサトウキビの量も平年並みとなることが見込まれることから、サトウキビの製糖割合も平年並みに戻ると見込まれ、サトウキビの作付面積の減少を踏まえ、2020/21年度の砂糖生産量(エタノールの製造に仕向ける糖分も含んだ数値。以下同じ)は、1246万トン(同1.4%減)と、わずかに減少すると見込んでいる(図2)。
(注)農村部で零細家内工業的に製造されているインドの伝統的な砂糖。詳細は、『砂糖類・でん粉情報』2020年5月号「インドにおける砂糖の生産動向および余剰在庫解消への取り組み」(https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002197.html)を参照されたい。
マハラシュトラ州では、前年度から大幅増の見込み
国内第2位のマハラシュトラ州では、2019年の雨季や2020年初頭の降水量がそれぞれ平年を上回ったことや、2019年に洪水被害を受けた5万ヘクタールのサトウキビほ場が回復することで、2020/21年度のサトウキビ作付面積は115万ヘクタール(前年度比47.9%増)と、大幅な増加を見込んでいる。同州では、新植面積の増加に加え、2020年の雨季における降水量が平年並みで、貯水量も十分に確保されているため、サトウキビの単収増加も見込まれ、同年度の砂糖生産量は、作付面積と単収の増加を受けて、1080万トン(同75.1%増)と、大幅に増加すると見込んでいる。
カルナータカ州では、前年度から大幅増の見込み
国内第3位のカルナータカ州における2020/21年度のサトウキビ作付面積は、降雨に恵まれたことで50万ヘクタール(前年度比19.3%増)と、大幅な増加を見込んでいる。マハラシュトラ州と同様、2020年の雨季に平年並みの降雨があり、貯水量が十分であることから、サトウキビの生育が順調に進み、同年度の砂糖生産量は460万トン(同31.7%増)と、大幅に増加すると見込んでいる。
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