2020/21年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第1回)を公表(ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は10月8日、2020/21年度第1回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。これによると、2020/21年度穀物合計の生産量は、作付面積、単収がともに増加するため、2億6867万2800トン(前年度比4..2%増)と前年度をやや上回ると見込まれている。
トウモロコシ生産量は過去最高となった前年度をわずかに上回る見込み
このうちトウモロコシの生産量は、前年度比2.6%増の1億516万7200トンとCONABが統計を取り始めて以来、最大となった前年度をわずかに上回り3年連続で増加すると見込まれている。
第1期作トウモロコシ(全生産量の25%程度を占める見込み)の生産量は、前年度比4.2%増の2676万5500トンと前年度をやや上回ると見込まれている。
主要生産州別にみると、最大の生産州である南部のリオグランデドスル州では、播種時期である9月に降雨が平年を下回ったものの、大部分の地域において土壌水分の状況が発芽や生育に適していることから、作付面積が増加とするとともに単収も大幅に改善し、生産量は同44.8%増と大幅に増加すると見込まれている。また南東部のミナスジェライス州では、作付面積が増加し、生産量が同4.6%増とやや増加すると見込まれている。一方、南部のパラナ州では、堅調な市場価格を背景として作付面積がわずかに増加するものの、単収がかなり減少することから、生産量が同8.8%減とかなりの程度減少すると見込まれている。
また第2期作(同73%程度)の生産量は、前年度比2.3%増の7676万3300トンと前年度をわずかに上回る一方、第3期作(同2%程度)は、同7.6%減と前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。ただし、今回の報告では、まだ第2期作および第3期作の作付面積が、前年度並みに仮置きされており、春植えの夏期作物(大豆・トウモロコシ)の生産状況を受け、今後、徐々に見通しが判明していくものとみられる。
大豆生産量は前年度の記録を更新し過去最高、世界最大の生産量を維持する見込み
大豆生産量は、作付面積の増加が続くとともに単収も増加することから、前年度比7.1%増の1億3367万3200トンと前年度をかなりの程度上回り5年連続で増加し、前年度の記録を更新し過去最大になるとともに、前年度に続き世界最大の大豆生産国になると見込まれている。これは、10月上旬時点で広い地域において降水不足により作付が遅れている状況にあるものの、前年度に続き中国からの需要が強いこと、為替が米ドルに対しレアル安となっていること、さらに大豆価格が高水準であることから生産者にとって収益性が上がっており増産意欲が高いためであるとみられている。
主要生産州別にみると、最大の生産州である中西部のマットグロッソ州では、北部、北東部および北西部を中心に引き続き作付面積が増加することから、生産量が同2.8%増とわずかに増加すると見込まれている。
(注)今回の発表では、2020/21年度のブラジルの大豆需給動向に関するデータは掲載されていない。
【井田 俊二 令和2年11月4日発】
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