米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は2020年11月10日、「Oilseeds:World Markets and Trade」において、2020/21年度の世界の大豆需給予測値を、また同日、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)は、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値をそれぞれ更新した。
これによると、2020/21年度の世界の大豆生産量は、イリノイ州など米国の主要生産州における単収の減少により同国が前月より266万トン、ラニーニャ現象の発生による降水量不足や不安定な経済状況を背景とした輸出税などの経済政策の影響で作付面積が減少するアルゼンチンが前月より250万トン下方修正されるなど、全体で583万トン下方修正されたものの、前年度比では7.7%増の3億6264万トンとかなりの程度増加すると見込まれている(表)。国別では、米国が3カ月連続で下方修正されたものの、悪天候により不作となった2019/20年度から作付面積、単収とも回復し同17.4%増と前年度を大幅に上回ると見込まれている。また、最大の生産国であるブラジルや今回下方修正されたアルゼンチンも、それぞれ同5.6%増、同4.1%増と前年度を上回ると見込まれている。
輸出量は、今回大きな修正はなく、前年度比では1.9%増の1億6782万トンと見込まれている。国別では、米国が中国向けを中心に同31.2%増と前年度を大幅に上回る一方、2019/20年度(推計値)に中国向けが増加したブラジルのほかアルゼンチンは前年度を下回ると見込まれている。また輸入量は、EUが50万トン上方修正されるなど、全体で44万トン上方修正され、同0.6%増の1億6539万トンと見込まれている。なお、今回2019/20年度(推計値)の輸入量において、中国が113万トン上方修正された。
消費量(搾油仕向量)は、輸出税など経済政策の影響で搾油仕向けが減少するアルゼンチンが200万トン下方修正されるなど、全体では152万トン下方修正され、同4.1%増の3億2089万トンと見込まれている。国別では、中国が同8.2%増の9900万トンと前年度をかなりの程度上回っている。
期末在庫は、生産量の減少により米国が273万トン下方修正される一方、2019/20年度(推計値)の輸入量が増加した中国が114万トン上方修正されるなど、全体では218万トン下方修正され、同9.3%減の8652万トンと前月よりさらに減少率が拡大すると見込まれている。特に米国は、同63.7%減の517万トンと前年度を大幅に下回ると見込まれている。