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米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2020年12月)

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2020/21年度の世界のトウモロコシ期末在庫量、前月予測からわずかに下方修正し、前年度比4.8%減

 2020年12月10日、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2020/21年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
 これによると、2020/21年度の世界のトウモロコシ生産量は11億4356万トン(前年度比2.5%増、前月比0.1%減)へわずかに下方修正された。国・地域別に見ると、単収の増加によりウクライナで100万トン上方修正されたが、ラニーニャ現象による乾燥気候の影響を受けて作付面積が減少するアルゼンチンで100万トン、ブルガリアの生産量が下方修正されたEUで50万トン、単収の減少によりカナダで44万トン下方修正された。しかし、米国(3億6849万トン、前年度比6.5%増)およびブラジル(1億1000万トン、同7.8%増)で前年度の生産量を上回ることから、依然として記録的な生産量となることが見込まれている。
 輸出量は、世界全体で1億8597万トン(前年度比8.6%増、前月比0.6%増)へわずかに上方修正された。国別に見ると、ウクライナは生産量の上方修正や、中国向け輸出量の増加見込みを受けて150万トン上方修正された。輸入量は、世界全体で1億7957万トン(同8.6%増、同0.8%増)へわずかに上方修正された。国別に見ると、アフリカ豚熱からの回復が進み、飼料向け需要が増加し、トウモロコシの国内価格が上昇している中国の輸入量が350万トン上方修正された。
 消費量は、世界全体で11億5801万トン(同2.2%増、同0.1%増)へわずかに上方修正され、生産量を1445万トン上回ることとなった。国別に見ると、中国の消費量が輸入量と同程度の350万トン上方修正された。
 期末在庫は、世界全体で247万トン下方修正された結果、2億8896万トン(同4.8%減、同0.8%減)と見込まれている。国別に見ると、ブラジルで50万トン、輸出量の増加が見込まれるウクライナで27万トン下方修正された。
表1

2020/21年度の米国トウモロコシ需給予測、前回と変化なし

 2020年12月10日、USDA/WAOBは、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、前回と変化なく、次の通りである(表2)。
 国内生産量は前回と変わらず、145億700万ブッシェル(3億6849万トン(注)、前年度比6.5%増、前月同)と予測されており、これまでの統計で最も生産量の多かった2016/17年度の151億4800万ブッシェル(3億8477万トン)をやや下回る過去2番目の水準となっている。
 国内消費量は、飼料など向けが前年度比2.2%減となる一方、食品・種子・その他工業向け(エタノール向けを含む)が同3.1%増となり、全体では121億7500万ブッシェル(3億926万トン、同0.5%増、前月同)と予測されている。
 輸出量は、中国向けの輸出量が増える見込みであることなどから、26億5000万ブッシェル(6731万トン、同49.0%増、前月同)と予測されており、記録的な輸出量となる見通しである。
 期末在庫は、輸出量が前年を大幅に上回ることから、17億200万ブッシェル(4323万トン、同14.7%減、前月同)と予測されており、2013/14年度以来の低水準となる見通しである。その結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は11.5%(同2.9ポイント減、前月同)となっている。
 また、生産者平均販売価格は前月と変わらず、1ブッシェル当たり4.00米ドル(420円。1キログラム当たり16.5円:1米ドル=105円)と予測されている。
 
(注)1ブッシェルを約25.401キログラムとして農畜産業振興機構が換算。
表2
【荒川 侑子 令和2年12月24日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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