CONAB、第3回サトウキビ収穫速報で、砂糖生産の復調見込みを発表(ブラジル)
最終更新日:2020年12月28日
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は12月15日、2020/21年度第3回サトウキビ収穫速報(注)を公表した。
(注)同速報は、同年度(砂糖年度:4月〜翌3月)におけるサトウキビ、砂糖およびエタノールの生産や輸出などの予測を、年4回公表するものである。
サトウキビ生産
ブラジルのサトウキビの収穫面積は、861万ヘクタール(前年度比1.9%増)とわずかに増加すると見込まれている(図1)。同国のサトウキビ生産量の約92%を占める中南部地域では、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の流行を受けて収穫作業の開始が遅れたものの、11月までの降雨量が少なく収穫ペースが早まったため、同地域の収穫は例年通り12月現在、ほぼ終了している。一方、残り約8%を生産する北東部地域での収穫作業も同様例年通り、2021年3月末までに終了するとみられる。
また、多くのサトウキビ生産地において、特に成長初期の天候が良好であったことや、栽培技術の開発などへの投資が奏功し、単収は1ヘクタール当たり77.3トン(同1.5%増)とわずかに増加する見込みである。
この収穫面積と単収の増加によって、サトウキビ生産量は6億6511万トン(同3.5%増)とやや増加すると見込まれている。
サトウキビの歩留まりの指標となる1トン当たりの平均回収糖分(ATR)は、中南部地域の降雨量の減少が影響し、平均で142.9キログラム(同2.6%増)とわずかに増加すると見込まれている(図2)。
砂糖およびバイオエタノール生産
2020/21年度は、原油の国際相場や燃料の需要が大きく落ち込んだことで、バイオエタノール生産量(トウモロコシ由来を含む)は、3285万キロリットル(前年度比7.9%減)とかなりの程度減少すると見込まれる。
バイオエタノールの需要低下に加えて、世界第2位の砂糖輸出国であるタイでの減産によって砂糖の国際価格が上昇したことなどを受けて、サトウキビの製糖への仕向け量が増加し、同年度の砂糖生産量は4184万トン(同40.4%増)と大幅に増加すると見込まれる(図2)。
この結果、同年度におけるサトウキビの砂糖生産への仕向け割合は同11.2ポイント増の46.1%(同11.2ポイント増)となり、砂糖生産への仕向けがかなり回復する見込みとなっている(図1)。
砂糖輸出
ブラジルの砂糖輸出量は2017/18年度以降3年連続で減少していたが、2020/21年度はブラジルレアルが米ドルに対して安値で推移したことや砂糖の国際価格の上昇を受けて、年間を通じて増加傾向で推移している。
2020/21年度における11月までの輸出量を見ると、2018/19年度および2019/20年度の年間輸出量をそれぞれ上回る約2370万トンを記録した。同期間における主な輸出先と輸出量に占めるシェアは、中国が17.2%、インドが6.9%、バングラデシュが6.6%、アルジェリアが6.3%、インドネシアが6.3%、ナイジェリアが4.6%と、これらのアジアおよびアフリカ諸国で全体の半分近くを占めている。
2020/21年度の輸出量の見通しについて、CONABは、過去最高を記録した2016/17年度の約2830万トンを上回ると予想している。また、現在の国際価格は、ブラジルの季節的な砂糖生産量の減少、タイ産砂糖の干ばつなどによる減産見込み、インド政府による輸出促進政策の発表遅延に伴う輸出の停滞などを背景に堅調に推移しており、今年度の残りの期間においても、砂糖の国際価格やレアル相場は、ブラジル産砂糖の輸出にとって有利に働くと予測している。
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