欧州における生鮮野菜・果物のサプライチェーンを代表する団体である欧州生鮮青果物協会(FRESHFEL EUROPE)は1月11日、EU(英国を含む28カ国)の青果物の消費等に関する調査結果を公表した。
このうち、2018年におけるEUの1人1日当たり青果物の消費量は、前年比4%増の363.76グラムとやや増加した。これは、世界保健機関(WHO)が推奨している同400グラム(ばれいしょ等でんぷん質の塊茎作物を除く)には及ばないものの、過去5カ年平均(2013〜2017年)と比べ5.1%増となっているため、青果物の消費低迷は収まったとしている。なお、同消費量のうち、野菜は151.94グラムとなったものの、果物は211.82グラムと過去5カ年平均と比較しても9.5%増となり野菜の減少分を補っている。
この調査結果について、同協会は、ここ数年間における青果物の重要性の認識を高めるための努力のおかげであるとし、「上記のWHOの推奨値に向けた努力の成果を表した結果となっている一方で、果物と野菜の消費量の違いについて調査する必要がある」としている。さらに、青果物部門が引き続き努力するとともに「2021年の国際果実野菜年(注)を利用し、バランスのとれた適切な食事習慣の中での青果物の重要な役割の継続的な強化は最近の上向きな消費トレンドを維持し、押し上げるために不可欠である」とした。
さらに、同協会では、EU全体で消費拡大プロモーションを実施しており、今年から新たに「#SpeakUp4FruitVeg」キャンペーンに取り組み、EUの政策担当者による青果物分野への支援を求めると共に青果物の消費拡大を行っている。同キャンペーンは、国連総会が定めた国際果実野菜年である今年1年を通して行われるデジタルキャンペーンとなり、同協会のSNSを通じて欧州理事会等EUの政策決定者に向け情報発信している。同協会は、「2019年に欧州グリーンディール政策が発表されてから、持続的で健康的な食生活に対する新たな活動を行っており、その取り組みの一環として、青果物部門を支援する。また、生産に関して環境への負荷が少なく、1日当たりで多くの摂取が推奨されている青果物部門は、消費者が食品を消費することで環境に与える影響を減らすのと同時に消費者の健康を改善する立場にある。この動きをEUの全ての人々に実現してもらうための政策支援を強化する必要がある」としている。
(注)当機構HP
「2021年は“国際果実野菜年”です」を参照されたい。
【令和3年1月19日 小林 智也】