米国農務省による世界のトウモロコシ需給予測(2021年1月)
2020/21年度の世界のトウモロコシ期末在庫量、前月予測からわずかに下方修正し、前年度比6.3%減
2021年1月12日、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)および米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、2020/21年度の世界のトウモロコシ需給予測値を更新した(表1)。
これによると、2020/21年度の世界のトウモロコシ生産量は11億3389万トン(前年度比1.6%増、前月比0.8%減)へわずかに下方修正された。国別に見ると、米国では単収などの減少により824万トン、アルゼンチンとブラジルではラニーニャ現象による乾燥気候の影響で単収が下方修正されたため、それぞれ150万トン、100万トン下方修正された。しかし、米国(3億6025万トン、前年度比4.1%増)およびブラジル(1億900万トン、同6.9%増)で前年度の生産量を上回ることから、依然として記録的な生産量となることが見込まれている。
輸出量は、世界全体で1億8363万トン(前年度比8.0%増、前月比1.3%減)へわずかに下方修正された。国別に見ると、米国で生産量の下方修正などにより254万トン下方修正された。輸入量は、世界全体で1億7628万トン(同6.7%増、同1.8%減)へわずかに下方修正された。国・地域別に見ると、アフリカ豚熱からの回復が進み、飼料向け需要が増加し、トウモロコシの国内価格が上昇している中国で100万トン上方修正されたが、EUやメキシコなどで下方修正された。
消費量は、世界全体で11億5306万トン(同1.7%増、同0.4%減)へわずかに下方修正され、生産量を1917万トン上回ることとなった。国別に見ると、中国で輸入量の増加に伴い150万トン上方修正されたが、米国で381万トン下方修正された。
期末在庫は、世界全体で513万トン下方修正された結果、2億8383万トン(同6.3%減、同1.8%減)と見込まれている。国別に見ると、中国で17万トン上方修正されたが、減産する米国で381万トン、ブラジルで100万トン下方修正された。
2020/21年度の米国トウモロコシ期末在庫量、前月予測からかなりの程度下方修正し、前年度比19.1%減
2021年1月12日、USDA/WAOBは、2020/21年度(9月〜翌8月)の米国の主要農作物需給予測値を更新した。このうち、米国のトウモロコシ需給見通しは、次の通りである(表2)。
国内生産量は、単収などがわずかに下方修正されたことから、141億8200万ブッシェル(3億6024万トン(注)、前年度比4.1%増、前月比2.2%減)へわずかに下方修正された。
国内消費量は、飼料など向けが5000万ブッシェル、エタノール向けが1億ブッシェル下方修正されたため、全体では120億2500万ブッシェル(3億545万トン、同1.3%減、同1.2%減)へわずかに下方修正された。
輸出量は、国内生産量の下方修正や、生産者平均販売価格の上方修正により、25億5000万ブッシェル(6477万トン、同43.4%増、同3.8%減)へやや下方修正された。しかし、依然として記録的な輸出量となる見通しである。
期末在庫は、2019/20年度の期末在庫(推計値)が下方修正されたことに加え、2020/21年度の総供給量の減少幅が総消費量の減少幅を超えたことから、15億5200万ブッシェル(3942万トン、同19.1%減、同8.8%減)へかなりの程度下方修正された。その結果、期末在庫率(総消費量に対する期末在庫量)は10.6%(同3.1ポイント減、同0.9ポイント減)へ下方修正され、干ばつの影響により生産量が大幅に減少したことで期末在庫率が1桁まで低下した、2013/14年度以来の低水準となる見通しである。
また、生産者平均販売価格は、期末在庫のさらなる下方修正が主な要因となって、前月より0.2米ドル高い1ブッシェル当たり4.20米ドル(441円。1キログラム当たり17.4円:1米ドル=105円)と予測された。
【荒川 侑子 令和3年1月26日発】
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